2018 Fiscal Year Research-status Report
白脾髄樹状細胞によるアロT細胞の貪食とアロ抗体産生誘導機構
Project/Area Number |
16K08474
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
北沢 祐介 獨協医科大学, 医学部, 助教 (00467581)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アロ抗体産生応答 / ワクチンベクター / 免疫組織染色 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の目標は、ハプテン抗原を標識したドナーT 細胞を投与することにより、抗ハプテン抗体産生細胞(AFC)も誘導されるのかを明らかし、ワクチンベクターとしての可能性を示すことである。さらに本研究を国際論文にて社会に発信することも含まれている。そこで、研究代表者はFITC(fluorescein isothiocyanate)をハプテン抗原として結合させたドナーT 細胞を宿主に移入し(同種異系モデル)、AFCが誘導される7日目の脾臓と全身のリンパ節および血液を採取した。その結果、免疫組織染色法にてFITC-AFCを脾臓のOuter-PALS(T細胞領域の外側域)だけでなくリ全てのンパ節のMedullary cord(髄策領域内)にて検出し、AFC応答が全身性であることがわかった。しかし、フローサイトメトリー(FCM)による血清中の抗体価測定においては、FITC抗体よりもアロ抗体の方が優性であった。また、臨床応用を考慮した同種同系モデルではFITC-AFCおよび血中抗体価を検出できなかった。これは、FITC-AFC誘導においてアロMHC抗原が不可欠かつ優位に起こることを示している。そこで、FITC-AFCを優位に誘導するためにFITC抗原を結合させた宿主の親のT細胞を宿主(一代雑種F1)に移入したセミアロモデルにて同様に再検討した。すると、親MHC1に対する抗体はほとんど検出されずFITCに対する抗体価が飛躍的に上昇した。これは、親T細胞のMHC1(A)をアロとして宿主DC(A×B)はできないが、NK細胞によるhybrid resistance によって親T細胞(A×Bの両方をもたないため)は殺され、その断片を宿主DCが貪食・提示したことでFITC-AFCが特異的に誘導されたと考えられる。よって本研究は目標が達成した。そこで、本研究成果を国際論文にて発信する(投稿中)とともに、臨床応用への第1歩としての特許も取得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者は、研究期間の最初の2年間においてドナーT細胞移入後の宿主での抗体産生応答のメカニズムを明らかにした。3年目ではハプテン抗原としてFITC抗原を結合したアロT細胞を宿主に投与して効率的かつ全身的に抗FITC抗体産生応答を誘導し、アロT細胞をワクチンベクターとしての可能性を示した。また、臨床応用にあたり特許の取得を得ることもできた。それゆえ、研究結果を得るための実験は予定通り進行した。しかし、最終計画である信頼性の高い国際論文での審査にあたり、立証するための研究結果が不十分であることが指摘された。それ故、動物実験を用いた再実験を行うことになり、研究期間内での終了が困難になった(補助事業期間延長承認済み)。現在、4番目の最終査読者の審査中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は、研究計画に記載した実験および国際論文の査読者による追加実験により達成された。今後としては、現在審議中の論文がAcceptされれば掲載のための最終修正を行い、社会に発信するため準備をする次第であるが、Rejectの場合は掲載誌への再選択が必要となる。
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Causes of Carryover |
本申請書の実験計画において、その成果を国際論文にて発信することを計画としている。現在、研究代表者は国際的に認められた雑誌に投稿し、査読後の最終審議段階である。そのため、年度内の研究計画(論文投稿料の使用)が予定通りに完了していない。研究代表者は、研究期間の最終年度末において本事業機関より補助事業期間延長許可をいただき、本研究基金にて達成することを強く希望している。
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