2017 Fiscal Year Research-status Report
骨格筋の興奮収縮連関を調節するジャンクトフィリンの新たな機能
Project/Area Number |
16K08491
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
中田 勉 信州大学, 学術研究院医学系, 講師 (70452141)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 興奮収縮連関 / 骨格筋 / 結合膜構造 / ジャンクトフィリン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,骨格筋L型カルシウムチャネルの正常な機能と細胞内局在における,ジャンクトフィリンの役割について検討を行っている。昨年までに,1)骨格筋のL型カルシウムチャネルの正常な局在と機能にジャンクトフィリンが重要な役割を果たしていること,2)ジャンクトフィリンの膜貫通部位を含むC末端欠失変異体(JP1ΔCT)が,L型カルシウムチャネルの正常な細胞内局在を阻害するドミナントネガティブ作用を有すること,などをin vitroの実験系において明らかにしている。本年度は,JP1ΔCTをアデノ随伴ウイルスベクターによってマウス前脛骨筋および短趾屈筋に導入し,その影響を観察した。ウイルス感染20日後に解析を行ったところ,正常群と比較して有意に筋力と特異張力(単位面積当たりの筋力)が減少していた。単離短趾屈筋繊維を用いたカルシウムイメージングを行った結果,電気刺激に対するカルシウムトランジェントの強度が有意に減少していた。しかし筋小胞体中のカルシウム含量に変化は認められなかった。また,JP1ΔCTを発現させた筋線維を用いて免疫染色を行うと,L型カルシウムチャネルの異常な細胞内分布が認められた。さらにproximity ligation assayおよび免疫沈降法による解析を行った結果,JP1ΔCTはL型カルシウムチャネルとリアノジン受容体や内因性ジャンクトフィリンとの結合を阻害していることが明らかになった。これらの結果は,L型カルシウムチャネルの正常な細胞内局在に,ジャンクトフィリンとの物理的な結合が必要であることを強く示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は主にアデノ随伴ウイルスベクターによるJP1変異体のin vivo発現による検討を行った。当初今年度および次年度に予定していたLTCCの細胞内局在決定,カルシウムトランジェントの測定,proximity ligation assayなどの実験をほぼ全て遂行できた。予定より早く進展したと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに当初計画していた実験の多くを達成できたため,次年度は異なるジャンクトフィリンのアイソフォームである,ジャンクトフィリン2に着目した実験を行う。ジャンクトフィリン2の変異体をアデノ随伴ウイルスベクターによりin vivoで発現させ,L型カルシウムチャネルの局在や機能に対する影響を調べる。ジャンクトフィリン2は心筋で主に働いていることが知られているため,骨格筋のみでなく心筋での検討も行う予定である。
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