2017 Fiscal Year Research-status Report
聴覚同時検出器細胞における特徴的なシナプス分布の意義の解明
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16K08493
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山田 玲 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (70422970)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 樹状突起 / シナプス / 同時検出 / 音源定位 |
Outline of Annual Research Achievements |
樹状突起は神経細胞における計算過程の中心的な役割を担うが、その形態や電気的特性と生体機能発現との関係は明確でないのが現状である。本研究では左右の音入力の同時検出器として働く事で両耳間時差検出を行うトリ層状核(NL)神経細胞を対象に、樹状突起におけるシナプス入力の統合過程を詳細に解析する。 これまでに、長い樹状突起を持つ低周波数領域の細胞では、興奮性シナプス入力が主に樹状突起遠位部の細い分枝に集中しており、これらのシナプス入力は時間経過を保ちながら大きく減衰して細胞体に届くことを明らかにした。さらに興味深い事には、この減衰過程には樹状突起の受動的なケーブル特性だけでなく、樹状突起局所での脱分極を介した能動的な特性変化も関与していることが示唆された。グルタミン酸アンケージングにおいてレーザー刺激強度を段階的に変化させたところ、遠位を刺激した場合は入力強度が増加しても細胞体に届く電位はあまり増加しなかった。カリウムチャネル阻害下で同様の実験を行ったところ、遠位を刺激した時に記録される電位は増加し、その増加は刺激強度が強いほど大きかった。つまり遠位樹状突起での減衰は入力強度依存的であり、これには局所でのカリウムチャネルの活性化が関わっていることが分かった。さらにカリウムチャネルのサブタイプに選択的な阻害剤を用いたところ、この入力強度依存的な減衰過程には低閾値活性化型に加えて、高閾値活性化型カリウムチャネルも関わることが示唆された。コンピューターシミュレーションを用いて詳細なメカニズムを検討したところ、シナプス入力による局所での大きな脱分極によって、入力強度に依存した樹状突起局所での非線形的減衰が起こることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グルタミン酸アンケージングを用いた実験により、樹状突起局所におけるシナプス統合の入力強度依存性およびカリウムチャネルのサブタイプごとの関与を示す事ができた。またコンピューターシミュレーションを用いることで、樹状突起局所における減衰過程の詳細なメカニズムを明らかにすることができた。シナプス空間分布の解剖学的検討が不十分であることから、以上の様な自己評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
コンピューターシミュレーションをさらに発展させることで、このような特徴的なシナプス分布によって、NL細胞における同時検出がどのような影響を受けるのか、その生理学的意義を明らかにすることを目指す。音の強さ情報は活動する蝸牛神経核の数としてコードされることから、シミュレーションを行うにあたって、音入力の強度変化とシナプス入力の強度変化の関係を知る必要がある。そのため、ガラス電極を用いた単一線維刺激によって1本の投射線維によるシナプス入力強度を実験的に把握する等の補足実験を行う予定である。これらの事を通して樹状突起における減衰過程の強度依存性を実際の音入力の強度変化と関連づけて理解することができると考える。 またこれまでの結果を解剖学的に確認する実験も引き続き行う。具体的には電子顕微鏡を用いて連続切片を撮影し、樹状突起およびそれに付着するシナプス終末を再構築する。それを用いてシナプス密度を細胞体からの距離および樹状突起の太さの関数で解析する。またウイルス等により単一投射線維を可視下する手法を試みる。
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Research Products
(3 results)