2016 Fiscal Year Research-status Report
酸素感受性TRPチャネルを介した新規脳虚血耐性機構の解明
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16K08494
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒川 竜紀 京都大学, 工学研究科, 助教 (40527701)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | イオンチャネル / 低酸素応答 / TRPチャネル / カルシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
脳は虚血状態に非常に弱いことから、低酸素状態を素早く感知し虚血状態を打破するための応答が必要である。しかし、生体内における酸素分圧感知・応答は、頸動脈小体を中心に進められてきており、脳内における局所的な酸素分圧の感知・応答機構はまだ分かっていない。本研究では、酸素センサーとして酸素感受性TRPチャネルを中心に、アストロサイトにおける低酸素応答機構の解明を目指す。このため、酸素センサー分子の同定、低酸素刺激によるグリオトランスミッター放出機構、低酸素刺激による脳血流制御機構、低酸素応答における遺伝子発現機構の4つの課題について研究を進める。今年度は、アストロサイトの酸素センサーとして、TRPA1が機能しているかをマウスのアストロサイト細胞株C8-D1A細胞を用いて検証した。RT-PCR法により、C8-D1A細胞にTRPA1が発現していることを確認した。また、細胞内Ca2+イメージング法により、TRPA1の特異的な活性化剤であるAITCによる細胞内Ca2+濃度上昇が確認され、さらにこれはTRPA1の特異的な阻害剤であるAP-18により阻害されたことから、C8-D1A細胞には機能的なTRPA1が発現していることが確認出来た。次に、10%O2により低酸素刺激を行うと、細胞内Ca2+濃度上昇が確認され、さらにAP-18により阻害されたことから、C8-D1A細胞においてTRPA1は酸素センサーとして働き、細胞内へCa2+シグナルを伝えることが解明された。同様の現象は、マウスより単離したアストロサイトでも観察され、TRPA1KOマウスより単離したアストロサイトでは低酸素刺激による、細胞内Ca2+濃度上昇が確認されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4つの研究課題の一つ「酸素センサー分子の同定」について、アストロサイトにおいてTRPA1は酸素センサーとして働き、細胞内へCa2+シグナルを伝えることを解明した。
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Strategy for Future Research Activity |
残り3つの研究課題、低酸素刺激によるグリオトランスミッター放出機構、低酸素刺激による脳血流制御機構、低酸素応答における遺伝子発現機構について、順次研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
酸素センサー分子の同定が想定よりも長くかかったため、次の課題である低酸素刺激によるグリオトランスミッター放出機構の解明に取り掛かるのが遅れたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
酸素センサー分子の同定が完了したので、低酸素刺激によるグリオトランスミッター放出機構の解明のために、グルタミン酸、ATP、D-セリンなどのアッセイキットの購入に使用する。
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[Journal Article] Comparison between mouse and sea urchin orthologs of voltage-gated proton channel suggests role of S3 segment in activation gating.2016
Author(s)
Sakata S, Miyawaki N, McCormack TJ, Arima H, Kawanabe A, Ozkucur N, Kurokawa T, Jinno Y, Fujiwara Y, Okamura, Y.
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Journal Title
Biochim. Biophys. Acta
Volume: 1858
Pages: 2972-2983
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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