2017 Fiscal Year Research-status Report
血管平滑筋異常収縮シグナル伝達においてカルパインと細胞骨格が果たす役割の解明
Project/Area Number |
16K08496
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
岸 博子 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (40359899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 影 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (10711260)
森田 知佳 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (70763796)
小林 誠 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (80225515)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 血管平滑筋 / 血管異常収縮 / カルパイン / 細胞骨格 / 機能プロテオミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らは、血管平滑筋異常収縮に特異的なシグナル伝達経路として、SPC/Fyn/ROK経路を、世界で初めて明らかにし、更に、異常収縮新規シグナル分子として、細胞骨格関連分子V1を同定した。V1は、SPC刺激により限定分解を受け、しかも、カルパイン阻害薬は、SPCによる血管平滑筋異常収縮を抑制した事から、本研究では、血管平滑筋異常収縮のシグナル伝達系におけるカルパインの重要性、および、細胞骨格関連分子V1分解断片の、血管平滑筋異常収縮に果たす役割、の2点を解明する事を目的とした。 計画1. カルパインの血管平滑筋異常収縮シグナル伝達への関与の分子生物学的検証:前年度に遺伝子導入効率が低かったため、遺伝子導入方法を変更してCRISPR/Cas9システムによるカルパインの遺伝子発現抑制を試みたが、依然として導入効率が低く、更に遺伝子導入方法を変更した。また、ヒト冠状動脈平滑筋細胞においてカルパインの内因性阻害分子であるカルパスタチンを強制発現させ、ROKの活性化に与える影響を、ROKの標的であるMYPT1のリン酸化レベルで評価した。 計画2. 細胞骨格関連分子V1の分解が、血管平滑筋異常収縮に果たす役割の検証:細胞骨格関連分子V1の、カルパインによる限定分解産物に相当する断片を組換え蛋白質として発現させるためのベクターを構築中である。 計画3. 機能プロテオミクスによる、新規カルパイン基質の探索:ヒト血管平滑筋細胞をSPCで刺激して細胞抽出液を作成し、カルパインに結合する蛋白質を免疫沈降した。 計画4. カルパインの血管平滑筋異常収縮シグナル伝達への関与の生理学的検証:ミオグラフにマウス血管組織をマウントし、SPCによる異常収縮を観察する事に成功した。 計画5. 組織レベルでの検証:beta-escinスキンド血管平滑筋標本に導入するための、カルパスタチンの組換え蛋白質を作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画1では、CRISPR/Cas9系によって、ヒト血管平滑筋細胞でのカルパインの遺伝子発現を欠失させる予定だったが、遺伝子導入効率が非常に低かったため、遺伝子導入方法を変更して、現在検討中である。一方、カルパインの内因性阻害分子であるカルパスタチンを強制発現させ、SPC刺激によるROKの活性化に対する影響は評価できた。他の計画は概ね計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
計画1では、CRISPR/Cas9系の高効率でのカルパイン発現抑制を目指し、遺伝子導入方法・条件を最適化する。他の計画は、引き続き計画通りに進める。
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