2017 Fiscal Year Research-status Report
プロテインホスファターゼ2Aによる平滑筋化学‐力学変換調節のメカニズム
Project/Area Number |
16K08500
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
渡辺 賢 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (60191798)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹谷 浩介 旭川医科大学, 医学部, 助教 (20586862)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 平滑筋 / プロテインホスファターゼ2A / スキンド標本 / ミオシン軽鎖リン酸化 / ラッチ / x線回折 |
Outline of Annual Research Achievements |
I生理学実験 :本年度はCaイオン活性化による通常収縮及び、高Mgイオンが惹起するラッチ収縮状態モデルそれぞれに対するプロテインホスファターゼ2A阻害薬rubratoxinに対する効果を検討した。βエスシン処理スキンド盲腸紐標本を用いて、細胞膜を破壊して容易にrubratoxinを細胞内に導入できる環境下での実験で、rubratoxinは何れの収縮をも抑制した。更に、rubratoxin前処置後に何れの収縮を惹起させても、収拾抑制効果が残存し、この効果は非可逆的であることが明らかになった。一方、rubratoxin前処置時にアデノシン3リン酸(ATP)が存在しない条件では、収縮抑制がみられないという、予想されない知見が得られ、rubratoxinによるプロテインホスファターゼ2A 阻害のメカニズムにATPが関与する可能性が示唆された。 II. スキンド標本を用いた X 線回折実験(渡辺、中原、石田): 生理的環境下でラッチ状態移行時の X 線 回折像を撮影し、赤道反射強度と力学応答の関係を経時的に記録することを試みた。実験を進めていく中で、細胞膜をスキンド処理する事により、収縮フィラメント格子間隔が拡大するという、未知の現象が明らかになり、X線回折のみならず電子顕微鏡観察も行い、現象の解析を進めた。 III. Phos-tag SDS 法によるタンパク質リン酸化定量(竹谷): 研究代表者渡辺が首都大学東京で生理実験を行ったスキンド平滑筋標本を氷冷トリクロロ酢酸‐アセトン処理により固定、風乾後、冷凍条件で旭川医科大学に送付し、収縮制御タンパク質のリン酸化動態を解析した。通常収縮標本ではミオシン軽鎖リン酸化レベルがrubratoxinにより抑制された。一方でラッチ収縮はいずれの条件でもミオシン軽鎖リン酸化が観察されなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
I.生理学実験及びIII.ミオシン軽鎖リン酸化定量については、順調に計画が実施された。そして、rubratoxinによるプロテインホスファターゼ2A 阻害メカニズムの本質に関係すると思われる新知見を得ることが出来た。X線回折実験は、未知の基本現象が明らかになったことでその解析を行ったことと、絶対的な実験時間を多く獲得することが出来ず、そのため研究は若干遅延している。
|
Strategy for Future Research Activity |
I.生理学実験及びIII.ミオシン軽鎖リン酸化定量については、当初計画どおり研究を進展させる。II.X線回折実験は、高エネルギー加速器研究機構での新たな実験計画が採択されたので、その時間を有効に使い、実験を進める。
|
Causes of Carryover |
当初、国際学会での成果発表を日本ではなく、米国生物物理学会で行う事を考えていたが、本務校業務のため参加せず、代わりに国内で開催された国際シンポジウムで発表したため。本年度は、研究成果の投稿や国際学会への参加を積極的に行う予定である。
|
Research Products
(2 results)