2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K08508
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 元彦 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40292122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 寿来 愛知医科大学, 医学部, 講師 (30533715)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 血管新生 / 血管内皮増殖因子受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度にヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)で観察された結果が、血管内皮細胞一般に見られる現象か、ヒト臍帯動脈内皮細胞(Human Aortic Endothelial Cells、HUAEC)および脈絡膜血管内皮細胞を対象として同様の検討を行った。すなわち、前年度の研究では、HUVECのG蛋白活性調節因子Activator of G-protein Signaling 8 (AGS8)をsiRNAによりノックダウンしたところ、血管内皮増殖因子(Vascular endothelial growth factor 、VEGF)シグナルが抑制され、VEGF刺激による細胞増殖、遊走、管腔形成も抑制された。今回、HUAECおよび脈絡膜血管内皮細胞のAGS8をsiRNAによりノックダウンしたところ、HUVECでみられたVEGFシグナルの抑制、VEGF刺激による細胞増殖、遊走、管腔形成の抑制が確認され、AGS8は血管内皮細胞一般でVEGF受容体シグナルを制御していると考えられた。また、AGS8のGβγ相互作用部位をVEGF受容体、Gβγサブユニットと共にCOS7に発現させ、AGS8およびVEGF受容体に対して免疫沈降を行ったところ、AGS8-VEGF受容体複合体の形成が確認された。このAGS8を含む蛋白複合体には、Gβサブユニットも含まれていた。AGS8はG蛋白βγサブユニットと会合しシグナルを制御する。申請者が以前に報告したAGS8-Gβγの相互作用を阻害するペプチド(AGS8ペプチド)をAGS8、VEGF受容体、Gβγサブユニットを発現させたCOS7に作用させたところ、AGS8-VEGF受容体複合体の形成が低下した。これから、AGS8-Gβγの相互作用がVEGF受容体制御に重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度当初に予定した複数種類の血管内皮細胞で、AGS8が血管新生に与える影響を検討するという計画はおおむね実行することができた。血管内皮細胞一般に見られる現象か培養血管内皮細胞を用いて検討を行い、AGS8は複数の血管内皮細胞でVEGFを介する血管新生シグナルに関与することが示された。さらに、今期はGβγ-AGS8-VEGF受容体複合体の形成を示すことができた。興味深いことに、AGS8-Gβγの相互作用を阻害するとAGS8-VEGF受容体複合体の形成が阻害されることも示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.AGS8-Gβγ複合体形成阻害による血管形成シグナル制御:AGS8はG蛋白βγサブユニットと会合しシグナルを形成する。AGS8-Gβγ複合体が血管新生に必要なのか、AGS8-Gβγの相互作用を阻害するペプチド(AGS8ペプチド)により複合体形成を阻害して検討する。HUVECにAGS8ペプチドを導入し、管腔形成を観察する。申請者は同ペプチドが内皮細胞へ化学試薬により導入可能なことを予備実験で確認している。 2.他の増殖因子シグナルへの関与:AGS8はVEGF受容体を特異的に制御するのか、他の1回膜貫通型受容体への制御を検討する。受容体としては、内皮細胞に発現が確認されているEGF受容体、FGF受容体を検討する。リガンド刺激後の受容体自己リン酸化をウェスタンブロット法により検討する。細胞膜表面のEGFおよびFGF受容体発現をFACS解析で確認する。 3.VRGFR2受容体の細胞膜局在を制御する機序:AGS8をノックダウンすると、細胞膜表面のVRGFR2受容体が減少した。AGS8が、受容体インターナリゼーションあるいは受容体の膜への移送に関与しているのか、複数のインターナリゼーション阻害薬を用いて検討する。 4.血管新生動物モデルを用いたAGS8血管形成制御の検討:新生血管動物モデルでAGS8をsiRNAによりノックダウンし検討を行う準備を進めている。
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Causes of Carryover |
本年度は研究実績に記載したとおり実験結果を比較的順調に得ることができ、細胞購入および培養に要する費用が軽減した。また、AGS8siRNA合成に要する費用も当初予定より軽減したため次年度使用額が生じた。 次年度へ繰り越した助成金は平成30年度分と合わせて、動物の購入と組織培養に要する費用に充てる予定である。平成30年度に当初から計画されていた助成金は試薬購入の他、研究推進に必要なパートタイム研究補助員の謝金として使用する予定である。
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Research Products
(24 results)