2016 Fiscal Year Research-status Report
リアノジン受容体による、新規な神経細胞自発発火パターン調節機構の統合的解明
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16K08513
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
入江 智彦 国立医薬品食品衛生研究所, 薬理部, 主任研究官 (20546551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 哲史 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (90334812)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リアノジン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
中枢神経細胞の多くは自発発火を示し、これは中枢パターン発生など重要な生理機能を担う。しかし、自発発火パターンに対して、小胞体膜上のリアノジン受容体によるCa2+誘発性Ca2+放出(CICR)が果たす役割は全く不明である。蝸牛神経核に存在する抑制性神経細胞はin vitroでも自発発火を示すので、これをモデル神経細胞とし、CICRによる自発発火パターンの調節メカニズムを解明する事が本研究の目的である。
本研究費助成が始まる以前のH27年度に、予備実験として次の実験を行った。C57BL/6マウスから蝸牛神経核を含む脳スライスを作成し、パッチクランプ法により抑制性神経細胞から記録を行い、自発発火活動に対するリアノジン受容体の阻害剤を投与し、その後も記録を行った。また、活動電位発生に伴い後過分極が観察された時にもリアノジン受容体阻害剤やKチャネル阻害剤を投与し、記録を行った。
H28年度は上記のデータ解析と文献調査、更には蝸牛神経核におけるリアノジン受容体の発現の有無を遺伝子発現データベースサーチにより行なった。データ解析の結果、自発発火パターンの変化が有意に生じていることが明らかになった。また、リアノジン受容体阻害剤存在下では後過分極が変化すること、更には、この変化はCa2+活性化型Kチャネルか関与していることが分かった。データベースサーチの結果、リアノジン受容体のうち、蝸牛神経核にはRyR1が豊富に発現している事が分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H28年度は、それ以前に取得した多くの記録データの解析に研究期間の大半を費やす必要があった。また、データベースサーチや文献調査にもかなりの時間を割く必要があった。それゆえ、研究費を使って実験動物や消耗品などを購入し、新たな実験を実施することが出来なかった。それゆえ、現在までの進捗状況はやや遅れていると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで行なったデータ解析により、活動電位パターンの変化はCICRによるCa2+活性化型Kチャネルの活性化によって引き起こされる事を見いだしている。先行研究により、CICRは細胞外からのCa2+流入によって引き起こされる事が知られている。そこで、今年度はCa2+チャネルサブタイプ特異的阻害剤を用いて、CICRを引き起こすCa2+チャネルのサブタイプを同定する。また、Ca2+イメージング法を用いて、神経細胞内のどの部位でCICRが生じているかを絞り込む。更には、リアノジン受容体や、Ca2+活性化型Kチャネルに対する特異的抗体を用いて、これらの局在部位・分布パターンを決定する。可能であれば、研究成果を英文科学雑誌に投稿する事を考えている。
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Causes of Carryover |
それ以前に取得した多くの記録データの解析に研究期間の大半を費やす必要があった。また、データベースサーチや文献調査にもかなりの時間を割く必要があった。その結果、研究費を使って実験消耗品などを購入し、新たな実験を実施することが出来なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度購入予定だった消耗品や実験機器を今年度購入するのに活用する。
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