2018 Fiscal Year Research-status Report
リアノジン受容体による、新規な神経細胞自発発火パターン調節機構の統合的解明
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16K08513
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
入江 智彦 国立医薬品食品衛生研究所, 薬理部, 主任研究官 (20546551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 哲史 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (90334812)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Ca2+誘発性Ca2+放出 / CICR / リアノジン受容体 / BKチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
大半の中枢系神経細胞は自発的に活動電位を発生させる事が知られており、これは歩行や呼吸などにおける中枢パターン発生など重要な生理学的機能を果たす。しかしながら、自発的活動電位の発生パターンに対して、小胞体膜上のリアノジン受容体によるCa2+誘発性Ca2+放出(CICR)が果たす役割は全く不明である。背側蝸牛神経核に存在するカートホイール細胞はin vitroで外部からのシナプス入力を遮断しても自発的活動電位を発生するという特徴を持つ。そこで、この神経細胞をモデルとして用い、CICRによる自発的活動電位の調節機構を明らかにする事が本研究の目的である。
今年度は、CICRにより調節を受けるBKチャネルの生物物理学的特性を解析する事を試みた。シングルチャネルレベルでBKチャネルを通って流れる電流を記録する為に、whole-cell patch clamp法の変法であるnucleated patch clamp法を用いた。Nucleated patch法により、細胞膜の一部のみを神経細胞全体から抜き出す事で、記録対象のBKチャネルの数が少なくなるようにした。その後、細胞膜に脱分極パルスを与えてBKチャネルが活性化するようにしたが、想定に反してBK電流が殆ど観察されなくなった。原因として考えられる事は、細胞膜の一部を細胞体から抜き出す過程で、リアノジン受容体が存在する小胞体と細胞膜で形成される構造が壊れてしまった可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者が所属する国立医薬品食品衛生研究所は、平成29年10月~平成30年3月に掛けて東京都世田谷区から神奈川県川崎市川崎区へと全面移転した。これに伴って研究所での動物実験を約半年間中断せざるを得なかった。また、移転前後に機器等の搬出・再設置に時間を割く必要があり、本課題のデータ解析などデスクワークが出来ない期間も数ヶ月あった。このような理由で計画が遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、リアノジン受容体とBKチャネルの距離は100ナノメートル以下であると推定している。しかし、これは細胞内カルシウムをキレート剤でキレートする方法によっており、具体的な距離を算出することが出来ていない。そこでこの推定を組織学的に確かめると同時により具体的な数値を知るために、それぞれのタンパクに対する特異的抗体と超解像顕微鏡を用いて測定する事を計画している。
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Causes of Carryover |
研究代表者が所属する国立医薬品食品衛生研究所は、平成29年10月~平成30年3月に掛けて東京都世田谷区から神奈川県川崎市川崎区へと全面移転した。これに伴って研究所での動物実験を約半年間中断せざるを得なかった。また、移転前後に機器等の搬出・再設置に時間を割く必要があり、本課題のデータ解析などデスクワークが出来ない期間も数ヶ月あった。このような理由で計画が遅延しており、これに伴い次年度使用額が生じた。 次年度使用額は、国内・海外学会への参加発表(約60万円)や実験機器・消耗品(約40万円)等にあてる予定である。
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Research Products
(3 results)