2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16K08519
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐藤 隆史 群馬大学, 生体調節研究所, 准教授 (70344934)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 小腸上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳動物では、離乳期において小腸の上皮細胞の機能が大きく変化する。この過程では、より効率的な栄養摂取に必須な因子の発現や細胞内局在に明瞭な変化が生じるが、そのメカニズムは不明な点が多い。そこで本研究では、小腸上皮の機能成熟課程において様々な分子の発現や局在を不可逆的に制御する分子の同定と機能の解明を目指した。本研究は以下のように進行した。 ①マイクロアレイを用いて離乳後に発現の増加する遺伝子を検索したところ、大きく分けて3種の役割を持つ遺伝子が最も顕著な増加を示した。小腸の成熟課程における遺伝子発現変動は顕著であり、生後約2週を境として様々な遺伝子の発現変動が確認できた。発現変動が観られた遺伝子は3種の生理機能に関わるものに大別され、いずれも栄養吸収、代謝と密接に関連していることから、これら一群の分子の発現誘導が小腸の機能成熟に重要な役割を果たしている可能性が高いと考えている。 ②マウス空腸のから上皮細胞を分離し、器官培養または細胞培養する手法を他大学との共同研究により確立出来る可能性があり、in vitro系での解析系の樹立も視野に入れている。最近まで大阪大学との共同研究により、細胞の極性形成のメカニズム解析の研究を継続しており、その成果の一部が論文に報告された(Kunii et al., JCB 2016)。今後、本計画に当該研究者の協力が得られれば上皮細胞において様々な解析が可能となり、成熟に伴う細胞の形態の制御における分子メカニズムを明らかに出来ると考えている。 ③これまでにCRSPR-CAS9を使った遺伝子ノックインマウスの作製を確立し、特定の細胞種の系譜追跡等に用いることが出来る有用なマウスの作出が完了している。本課題には細胞の系譜追跡が必要となることも考えられ、本手法を応用することで研究をより進展させることが出来ると考えている。
|