2016 Fiscal Year Research-status Report
急性ストレスが引き起こす帯状回シナプス変化とその分子メカニズムの解明
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16K08528
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
北條 泰嗣 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (20536875)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 帯状回 / ストレス / グルココルチコイド受容体 / オシレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
注意や意思決定を司る前部帯状回(anterior cingulate cortex:ACC)はストレスに脆弱な部位と考えられている。しかし、ACCにおけるストレスホルモン(コルチコステロン)の作用部位が不明であるため、免疫組織染色を用いて、ストレスホルモンの受容体であるグルココルチコイド受容体(glucocorticoid receptor: GR)の存在を明らかにした。GRの染色はACC内のcg1の方がcg2よりも強かった。これについてはWesternblotやRT-PCRを行って、定量的に確認する予定である。 また、帯状回の機能を反映すると考えられている、神経活動のオシレーションに重要なパルブアルブミン陽性細胞に着目し、これとの共局在を解析したところ、パルブアルブミン陽性細胞との共局在が示された。しかし、パルブアルブミンを発現していないが、GRを発現する細胞が多数存在し、大きさなどから興奮性のグルタミン酸作動性神経細胞であると推測された。現在、グルタミン酸作動性神経細胞を標識する抗体との共染色を行い、共局在を明らかにしつつある。 神経活動のオシレーションは、興奮性のグルタミン酸作動性神経細胞と抑制性のGABA作動性神経細胞(パルブアルブミン陽性細胞を含む)が協調して同期活動を行うことにより生じる。コルチコステロンはACCのオシレーションのパワーを急性的に減少させることも確認した。本研究の結果により、ACCにおけるストレスホルモンの作用点と、その結果生じる、ACC機能の変化の関連が初めて示唆された。今後、シナプスレベルの解析を進めることでより詳細な、ACCにおける急性ストレスの分子メカニズムが解明されることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、前部帯状回におけるグルココルチコイド受容体発現細胞の特定が主であったが、上記のようにおおむね順調に研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
GR局在解析について:概要で記したようにグルタミン酸作動性神経細胞、パルブアルブミン以外のGABA作動性神経細胞とGRの共局在を解析する。また、ACC内の部位によるGR発現量の違いについてはWesternblot, RT-PCRなどの手法を用いて定量的に解析する予定である。 スパイン解析について:平成29年度から本格的に開始し、急性ストレス作用がACCシナプスに及ぼす変化の分子メカニズムを解析する予定である。 これらの実験操作、データ解析などを以下の研究協力者と共同で行うことを予定している。 [研究協力者] 埼玉医科大学 医学部 松永洸昴
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Causes of Carryover |
本年度、繰り上げ採択されたために、実際に予算を使える期間が短く、それまでの間は所属機関の予算等を使用して試薬や器具をやりくりしていたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初予定していたよりも標識抗体の数を増やし、GRを発現する細胞をより詳細に決定するのに使用する予定である。
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Research Products
(2 results)