2016 Fiscal Year Research-status Report
妊娠、出産、子育て経験による海馬可塑性の分子基盤の解明
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16K08531
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
長谷 都 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (20450611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 篤 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (10442716)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 妊娠 / 出産 / 子育て / 雌性ラット / AMPA受容体 / 海馬 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、妊娠、出産、子育て後、性周期が回帰する産後5週齢の経産群、出産後仔を取り除いた群、里仔を3週間未経産ラットに与えた群、また対照群として未経産ラット(全ての群で同週齢Long Evans ラット)を用いて、海馬依存性学習としてY字型迷路、モリス水迷路、海馬CA1細胞のパッチクランプ法によるLTPの記録、Rectification index (RI)、海馬AMPA受容体のサブユニットの構成をウェスタンブロット法にて解析した。 その結果、経産群は、対照群と比較しY字型迷路における海馬依存性学習の成績が良好であったが、モリス水迷路における結果は、群間で有意な差はみられなかった。モリス水迷路は、連続的なトレーニング期間を要し、性周期を一致させた実験が困難である事から、ばらつきの多いデータとなったと考えられる。その他のデーターは、全て発情前期のラット、およびそのサンプルを用いた結果である。また、海馬のシナプスでのAMPA受容体サブユニットのGluR2の発現が多いことを確認した。また、未経産ラットでは、LTPを誘導できない低頻度の刺激(10 Hz、270 pulses、1.5 min)で、経産ラットではLTPが誘発された。また、AMPA受容体のサブユニットの構成をみる事が出来る、Rectification index (RI)をみてみると、他群と比較し、経産ラットで有意に値が高いことがわかった。 これら結果から、妊娠、出産、子育て後の学習機能の向上には、AMPA受容体のサブユニットの構成の変化によるシナプス伝達効率の変化が関与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、生化学的解析は、29年度以降としていたが、14-3-3protein の解析を年度内に開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
14-3-3protein の解析において、関連あるサブタイプの確定を行い、そのサブタイプをブロックする事で、行動の制御ができることを確認したいと考えている。生化学的解析を、中心に行い妊娠-出産-子育て行動による海馬機能の変化における機序を解明したいと考えている。
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Causes of Carryover |
動物使用数、および試薬の使用量が、実験計画が予想以上に遂行出来た為、最低限の数と量で本年度終了した事が、このような結果を導いた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、生化学的解析を中心として行う事から、試薬や抗体代が大部分を占めると考えられる。
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Research Products
(4 results)