2017 Fiscal Year Research-status Report
妊娠、出産、子育て経験による海馬可塑性の分子基盤の解明
Project/Area Number |
16K08531
|
Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
長谷 都 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (20450611)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 篤 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (10442716)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 海馬 / 学習 / AMPA / 雌性ラット / 可塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画の目的は、1. どの生殖イベントが影響を及ぼし、2. 何のバイオマーカー(候補バイオマーカーの1つが、14-3-3protein)が関与しているのかを、明らかにすることである。実験群は、子育て経験のある経産ラット、未経産ラットおよび子育て経験の無い経産ラット、未経産ラットを用い、全実験4群で設定する。本年度は、電気生理学的解析では、海馬CA1の単一細胞を用いてパッチクランプ膜電位固定法にて、(1) AMPA/NMDA比の解析、(2) AMPA受容体サブユニットの構成の解析、(3) 飽和試験に伴うGluR2-lacking AMPA受容体の解析を行う。平成29年度は、電気生理学的解析の結果を生化学的解析にて確認する。ウェスタンブッロット法にて(4) GluR1-2、14-3-3protein、PSD95、及びGluR1のリン酸化(831および845)のタンパク定量を確認する。結果は、 (1) AMPA/NMDA比の解析では、経産群が有意に高く、(2) AMPA受容体サブユニットの構成をみるためのRIも経産群が有意に高く(3) 飽和試験に伴うLTPを経産群でのみ誘発することが出来た。タンパク定量では、(4) GluR1-2、14-3-3protein、及びGluR1のリン酸化(831および845)を精査したが経産群でGluR2でのみ有意に高い値を示した。特に、電気生理学的解析にて、前年度の行動解析での結果を裏付けることが出来た。タンパク定量では、電気生理学的解析で用いた、CA1に限局したサンプルではなく、海馬領域のサンプルで得た結果であることから、もう一度精査する必要がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電気生理学的解析によって、行動解析の経産群における学習記憶の変化を裏付けることが出来た。パッチクランプ法にて、(1)AMPA/NMDA比の解析、(2)AMPA受容体サブユニットの構成の解析、(3)飽和試験を行う。測定機器や、際立ったアクシデントも無かったことから、データー数も、確実に増やすことが出来た。行動解析の結果を裏付けるデータを得ることが出来たことからも、おおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
ウェスタンブッロット法にて(4)GluR1-2、14-3-3protein、PSD95、及びGluR1のリン酸化(831および845)のタンパク定量を確認した。海馬全体をサンプルとして、定量しているため、実際CA1に限局した解析を行っている電気生理学的解析結果をタンパクレベルで裏付けるには、CA1に限局したサンプルによるタンパク定量が必要となる。CA1サンプルによる、タンパク定量を行い、海馬全体のサンプルで行った結果との整合性、電気生理学的解析の結果を裏付けることが出来るか否かを検討したい。
|
Causes of Carryover |
実験計画が、少し遅延したため動物購入の費用を中心にそれに伴う試薬の購入を行うことができなかったため。
|
Research Products
(2 results)