2017 Fiscal Year Research-status Report
Usp46変異マウスを活用した概日リズムの給餌同調機構の解明
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16K08535
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
海老原 史樹文 関西学院大学, 理工学部, 教授 (50135331)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マウス / 概日リズム / 給餌同調 |
Outline of Annual Research Achievements |
CSマウスは、給餌サイクルに概日リズムが同調する特異な性質を持つ。また、抗うつ薬の反応性を調べる強制水泳や尾懸垂テストにおいて無動化しない。研究代表者は、CSマウスの無動化の原因遺伝子Usp46を特定していたが、最近、Usp46KOマウスの概日リズムが給餌サイクルに同調することを見出した。Usp46はGABA神経系の機能低下を引き起こすことから、給餌同調にGABA系が関与している可能性が考えられた。そこで本研究は、Usp46変異マウス(CS、Usp46KO マウス)を活用して概日リズムの給餌同調に関する中枢制御機構を検討することを目的とした。昨年度は、Usp46変異マウスの概日リズムの特性の把握、給餌同調の確認、および報酬系刺激による概日リズムの同調を検討するとともに、短期間の給餌サイクル刺激に対して位相変位が生じる条件を調べて最適な条件の決定を試みた。しかし、通常餌では位相変位量がそれほど大きくなく、受容体作動薬や拮抗薬を用いた薬理学的実験で検証できるかどうか確証がないと思われた。そこで、今年度はより効果的に位相変位が生じる条件を探った。その結果、通常の餌よりも報酬系をより刺激すると考えられる嗜好性餌(チョコレートチップ)を用いることにより明確な位相変位が生じることが分かった。この方法を用いて、現在給餌同調にGABA系が関与しているかを検討するために、CSマウス用いてGABAA 受容体の機能を増強するベンゾジアゼピン系薬のニトラゼパムの投与により位相変位が阻害されるか、また、給餌サイクルに同調しないC57BL/6J マウス(野生型)を用いて、GABAA 受容体の遮断薬であるビククリンの投与により給餌刺激による位相変位が生じるかを検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H28年度に給餌刺激に伴う概日リズムの位相変位誘発法を確立して、H29年度から行動薬理学的研究に進む予定であったが、位相変量がそれほど大きくなく、行動薬理学的検証には十分でないと判断されたため、さらに有効な方法を探った。そのため、実験の進行がやや遅れた。しかし、すでにGABA系薬物を用いた実験を開始しているため、遅れた分を取り戻せると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進めている行動薬理学実験が順調に進めば、本研究の目的をほぼ達成できると思われる。
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