2017 Fiscal Year Research-status Report
ナルコレプシーの誘因としてのマイクロビオータを動物モデルで検証する
Project/Area Number |
16K08540
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
児玉 亨 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, シニア研究員 (20195746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 正孝 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 研究員 (50092383)
本多 真 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, プロジェクトリーダー (50370979)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 腸内細菌 / 過眠症 |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床検体の採取と腸内細菌叢の分析:平成28年度、6例のパイロットケースに関して腸内細菌叢解析を行ったが、ナルコレプシー特異的変化を検出するに至らなかった。そこで対象を晴和病院にてPSG検査入院をした症例20例に広げ前年度のプロトコールに従い採便キットで便を採取。患者便および対照群からDNAを抽出し、遺伝子解析によってヒト腸内細菌の16S rRNAの網羅的解析を行った。(委託検査:テクノスルガラボ;T-RLFPフローラ解析)。あわせて最終年度のバイオマーカ検索のためにPSG/睡眠脳波検査を行った翌朝に約20mLの採血を行い、血清およびリンパ球を分離・凍結保存した。解析結果としてパイロットケースで示唆されたビフィズス菌の保有率が対照群より高い傾向が過眠症群において再確認された。さらに睡眠障害を高い頻度で併発する発達障害症例でも睡眠傾向と腸内細菌分布に関連が見られ詳細を検討している。 患者検体の分析:最終年度のメタボローム解析の準備として症例の基礎データベースを整備している。患者検体の血清は網羅的遺伝子発現解析に供する予定である。またリンパ球からはmRNAを抽出して、メチル化部位の検討をすすめており、関連研究としてCCR3の特異的メチル化に関しての知見も得ている。 動物モデルによる細菌叢検討:前年度過眠症改善の効果があると考えられる薬物を長期投与した場合の腸内細菌叢の変化を先行して調べた。長期の投与により腸内細菌叢の分布に明らかな変化が見られ、投与実験に関しては手間、費用のかかる無菌動物を用いずとも簡易的に比較できる事が判明し、以降の実験系を簡便化する事にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度ナルコレプシー特異的な腸内細菌叢の変化が確認できなかったため症例を増やして解析を進めている。ナルコレプシーから過眠症に症例を広げる事で過眠傾向と腸内細菌叢(特にビフィズス菌群)に相関が見られ目標の変更も視野に入れ検討している。実験動物を用いた基礎確認を終え臨床例の解析と最終年に向けて患者データベースの整備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
過眠症の誘因としての腸内細菌叢の役割という研究目標にシフトする方向に舵を切り、ナルコレプシーを含む過眠症症例に於いて特異的な腸内細菌叢の変化を確認するため症例を増やして解析を進めていく。過眠症改善薬の投与による睡眠と腸内細菌叢の関係を先行して調べたところ成果が見られたので、パイロットケースとして患者さんに同意を取り摂取後腸内細菌叢の変化などさらに詳細検討するとともに最終年度のバイオマーカー検索準備を進める予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度に臨床症例が充分に集まらなかった事から解析が先送りになり支払いが平成30年度に延期された。症例をまとめての解析となったため平成30年度中に執行できるものと考えている。
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Research Products
(3 results)