2016 Fiscal Year Research-status Report
リガンド受容能不全の変異ペプチドホルモン受容体に対する人工リガンド創製の基盤研究
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16K08544
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
酒井 克也 金沢大学, がん進展制御研究所, 助教 (10523318)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 受容体 / ペプチド / リガンド |
Outline of Annual Research Achievements |
1)組換えインスリン受容体(IR)タンパク質の発現と精製:IRに結合する環状ペプチドの親和性セレクションのために、IRの発現と精製を試みた。IR細胞外領域 (IR-ECD)とFcの融合タンパク質を設計し、無血清一過性発現のExpi293発現系で分泌タンパク質として発現させ、WGAカラム、Niカラムで精製した。その結果、タンパク質発現量が少なく、正しくジスルフィド結合を形成していないIRが多いことが分かった。IIR-ECD-Fcでは、正しいジスルフィド結合の形成が困難であり分泌されるタンパク質量が少ないことが示唆された。そこで、膜貫通と細胞内も含めた全長IRとして精製する方法に変更した。全長IRはExpi293一過性発現系でも、CHO細胞の安定発現系でも良く発現し、WGA親和性カラム、Niカラム、anti-Flagカラムを用いることで高純度に精製できた。しかし精製の過程で部分的に活性が失われるので、活性を保つ精製方法の検討が必要である。 2)IR発現細胞とバイオアッセイ系の確立:IRの機能を修飾できるペプチドの取得が目標のため、その作用を評価するアッセイ系を確立した。CHO細胞に、ヒトIRを安定発現させることでヒトインスリンに応答したヒトIRのリン酸化をウエスタンブロット法で検出できた。さらに様々な細胞外領域変異ヒトIRの発現ベクターを構築し、CHO細胞においてヒトインスリンに対する応答性の低下や喪失を確認できた。またIRのキナーゼ活性を評価できるin vitro kinase assayを確立した。具体的には部分精製IRとビオチン標識した基質IRS1ペプチドを、ATPを含むバッファー中で反応させ、基質ペプチドをストレプタビジンプレートに固相化した後、基質ペプチドのチロシンリン酸化を抗チロシンリン酸化抗体で検出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していたアッセイ系の確立は、ほぼ順調に進んでいる。IRタンパク質の発現、精製が当初予定より若干遅れている。これは上記したようにIR-ECD-Fcタンパク質が正しいタジスルフィド結合をとらないために発現が困難であることが判明し、全長IRの発現と精製に方法を変更したためである。全長IRの発現、精製は可能でることが分かった。今後、キナーゼ活性を維持したまま精製するために、確立したin vitro kinase assayを用いながら、さらに精製方法の検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
活性を持つ精製度の高いIRを用意することが、環状ペプチドの親和性選択に重要であるので、今年度の前半までに確立したい。後半に環状ペプチドの親和性選択を行う予定である。
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