2016 Fiscal Year Research-status Report
JSAPによる細胞内輸送制御の破綻に起因する神経細胞死と染色体分配異常の分子機構
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16K08579
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
善岡 克次 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (60200937)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 染色体 / 足場タンパク質 / マウス / 細胞分裂 / 細胞死 / 遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究から、JSAPタンパク質(JSAP1, JSAP2)は細胞内輸送システムにおいて重要な役割を担うと考えられている。しかし、その詳細については不明な点が多い。本研究は、JSAP機能喪失・発現亢進によって誘導される細胞死や細胞分裂異常の分子機構解明を目指している。今年度の研究成果は、以下の通りである。 Cre-loxPシステムによりJSAP1,2二重欠損が可能なマウス胚性線維芽細胞(MEF)を用いて、分子細胞生物学的手法・免疫染色法による詳細な解析を行った。その結果、遅滞染色体や染色体橋などの染色体異常,及び中心体数異常が認められた。また、MEF及びHeLa細胞において野生型JSAP2を過剰発現させた場合にも、染色体異常(遅滞染色体・染色体橋)が高頻度で観察された。このようなことから、JSAPは染色体分配制御に関わる重要な因子であり、JSAP機能喪失及びJSAP発現亢進は染色体不安定性を誘導する可能性が示唆された。現在、キネシンやダイニンモータータンパク質との結合能を欠く変異体を含む、様々な欠失変異型JSAP2発現ベクターの作製を進めるとともに、JSAP1,2二重欠損あるいはJSAP2発現亢進により染色体異数性が誘発される可能性を検討している。一方、JSAP機能喪失によって引き起こされる神経細胞死については、JIP1及び細胞質ダイニンの関与を考え、JIP1に対するshRNA、shRNA耐性JIP1、及びダイナクチンp150(ダイニン-ダイナクチン複合体の構成分子)発現ベクターを作製した。現在、JSAP欠失による神経細胞死がJIP1ノックダウンによって抑制されるかを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
JSAP機能喪失・発現亢進が細胞にどのような影響を与えるかを調べ、分裂期での染色体分配異常が高頻度に誘発されることを見出した。また、当初の計画に加え、分裂期キナーゼ(Aurora-B, PLK1等)に注目した解析を行うための準備を進めている。一方、JSAP欠失によって誘導される神経細胞死については、分子メカニズム解明に向けて、当初の計画通り、解析準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究はおおむね順調に進展しており、当初の研究計画に沿って研究を推進する予定である。また、研究計画に大きな変更はなく、研究を遂行する上でも特に問題点はない。
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Remarks |
金沢大学がん進展制御研究所・善岡研究室ホームページ http://ganken.cri.kanazawa-u.ac.jp/yoshiokaHP/index.html
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Research Products
(5 results)