2016 Fiscal Year Research-status Report
S期特異的な複製共役ヌクレオチド除去修復機構についての解析
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16K08580
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
丹伊田 浩行 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (20336671)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | DNA修復 / 細胞周期 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の研究グループは2015年にhistone acetyltransferase, HBO1がUV照射によるDNA ダメージにより活性化したATRによりリン酸化され、これが引き金となりCRL4/DDB2によりユビキチン化を受けることを報告した(Matsunuma et al. Moll Cell Biol. 2015). CRL4/DDB2はUV照射により生じるチミジン二量体を修復するnucleotide excision repair (NER)のsub-pathwayであるグローバルゲノムNER(GG-NER)の損傷認識に関わるユビキチンライゲースであることが明らかにされている。そこで我々はHBO1はCRL4/DD2によりユビキチン化されることでUVによるDNA損傷部位へ局在し、GG-NERにおいて何らかの役割りを担うことを予想し研究を開始した。予想通りUV照射後にリン酸化されたHBO1は損傷部位へ局在し、ダメージ近傍のヒストンをアセチル化していることを発見した。このヒストンのアセチル化は未だ未知の機構によりヒストンH3K4トリメチル化を維持するようであり、このヒストン修飾を目印にクロマチンにアンカーするクロマチンリモデリング因子のリクルートにも関与しているらしいことも明らかにした。ヒストンH3K14のアセチル化とK4トリメチル化によりGG-NERの修復因子であるXPC, TFIIHはDNA損傷部位へ効率的に集積するのでHBO1は初期の過程においてGG-NERに関わっていることが示唆される。 我々はさらにHBO1がDNA replication依存的に活性化したATRに主としてリン酸化されていることを見出している。このためHBO1により誘導されるGG-NERには細胞周期特異的なものがあると考えられるので現在その点について検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までのところ、予想された通りHBO1はUV照射後にATRによりリン酸化を受け、DDB2と結合することによりNERに関与していることが証明された。今後この発見を伸展させて細胞周期S期に特異的なNER機構が存在することを検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
HBO1をリン酸化するATRは細胞周期依存的な活性化機構が存在することが報告されている。そのためHBO1のGG-NERにおける役割りにも細胞周期依存性は存在すると思われる。特にS期においてHBO1はよく機能していることが予想されるのでS期における活性化を明確にし、細胞内での局在を突き止めたい。紫外線により生じるメラノーマ細胞にはS期特異的なNER欠損が報告されているのでこのS期特異的なNERとHBO1との関係について検討を進めたい。
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Causes of Carryover |
細胞周期特異的なNER機構を明らかにするため細胞培養試薬、分子生物学試薬、siRNA、DNAプライマーなど2016年度以上に必要となるのでこれらに充てたい。またよりクリアーな回析を行うためにゲノム編集を用いてHBO1およびこれに関与すると予想される分子のノックアウト細胞を樹立するために予算を充てる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
培養試薬30万円、分子生物学試薬40万円、siRNA, DNAプライマー44万2千円
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