2016 Fiscal Year Research-status Report
核内受容体Ad4BPによるレギュロンスイッチングの制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
16K08593
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
馬場 崇 九州大学, 医学研究院, 助教 (40435524)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 遺伝子発現制御 / 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、レギュロン制御の視点から代謝調節系のメカニズムを明らかにすることで、生体恒常性維持機構の理解を目指す。なお本研究では、細胞内エネルギー代謝がAd4BP/SF-1レギュロンによって制御されていることが既に明らかになっている副腎および生殖腺に焦点を当てる。 以下の3つ実験項目を設定し、糖濃度に応答したAd4BPのレギュロンスイッチングの分子メカニズムを多方面から検討することで、その実体解明を目指している。各実験項目に関して、当該研究期間中に得られた結果に関して下記に記す。 実験(1) 糖濃度の変化に応答したAd4BP/SF-1の翻訳後修飾の同定とその機能解析:様々な糖濃度条件下で培養した細胞におけるAd4BPの翻訳後修飾の同定を試みた。翻訳後修飾を同定したのち、その修飾を受けたAd4BPのクロマチン結合領域をChIP-sequenceにより明らかにする予定である。 実験(2) 糖濃度の変化に応答したAd4BP/SF-1の共役因子の同定とその機能解析:免疫沈降及び質量分析によりAd4BPの共役因子の同定を行った。これまでに幾つかの共役因子の候補が得られた。これらの因子の糖濃度に応答したレギュロンスイッチングへの関与について検討を行う。 実験(3) 糖濃度の変化に応答したAd4BP/SF-1結合領域のクロマチン構造変化の検討:糖濃度の変化に応答し、クロマチン構造の変化する領域をFAIRE-sequence法にて同定した。これらの領域とAd4BP/SF-1結合領域の比較を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験(2)に関しては、Ad4BP/SF-1と共免疫沈降される因子群を質量分析により同定することで、これまでに幾つかの共役因子の候補を得ることに成功した。これらの候補因子の中には通常細胞質でエネルギー代謝に関与していることが知られている酵素タンパク質が含まれていることから、これらのタンパク質が核内で未同定の機能を発揮している可能性が考えられる。 実験(3)に関しては、FAIRE-sequenceにより糖濃度の変化に応答してクロマチン構造が変化する領域をゲノムワイドに同定した。これらの領域をAd4BP/SF-1の結合領域と比較することにより、Ad4BP/SF-1依存的なクロマチン構造変換によって制御される遺伝子を幾つか同定した。 実験(1)に関しては、これまでに糖濃度の変化に応答したAd4BP/SF-1の翻訳後修飾の同定には至っていない。理由として、翻訳後修飾を受けているAd4BP/SF-1の全体に占める割合が低い可能性が考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
実験(1)に関しては、引き続き糖濃度の変化に応答したAd4BP/SF-1の翻訳後修飾の同定を試みる。 実験(2)に関しては、これまでに得られている共役因子候補との相互作用の検証を行い、共役因子であることが確定したものに関しては遺伝子のノックダウンを行い、その影響を検討する。 実験(3)に関しては、糖濃度の変化に応答してクロマチン構造が変化する領域に結合する因子の予測を行う。
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Causes of Carryover |
物品費の使用額が当初の予想よりも少なくなったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の物品費として使用する
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Identical NR5A1 Missense Mutations in Two Unrelated 46,XX Individuals with Testicular Tissues2017
Author(s)
Igarashi M, Takasawa K, Hakoda A, Kanno J, Takada S, Miyado M, Baba T, Morohashi KI, Tajima T, Hata K, Nakabayashi K, Matsubara Y, Sekido R, Ogata T, Kashimada K, Fukami M.
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Journal Title
Hum Mutat.
Volume: 38
Pages: 39-42
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Differential lactate and cholesterol synthetic activities in XY and XX Sertoli cells2017
Author(s)
Shishido Y, Baba T, Sato T, Shima Y, Miyabayashi K, Inoue M, Akiyama H, Kimura H, Kanai Y, Ishihara Y, Haraguchi S, Miyazaki A, Rozman D, Yamazaki T, Choi MH, Ohkawa Y, Suyama M, Morohashi KI.
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Journal Title
Sci Rep.
Volume: 7
Pages: 41912
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Lysosomal activity maintains glycolysis and cyclin E1 expression by mediating Ad4BP/SF-1 stability for proper steroidogenic cell growth2017
Author(s)
Syu JS, Baba T, Huang JY, Ogawa H, Hsieh CH, Hu JX, Chen TY, Lin TC, Tsuchiya M, Morohashi KI, Huang BM, Lu FL, Wang CY.
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Journal Title
Sci Rep.
Volume: 7
Pages: 240
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] 核内受容体Ad4BP/SF-1によるステロイドホルモン産生の統括的制御2017
Author(s)
馬場崇, 大竹博之, 井上実紀, 佐藤哲也, 石原康宏, 宮林香奈子, 嶋雄一, 山崎岳, 須山幹太, Choi Man-Ho, 大川恭行, 諸橋憲一郎
Organizer
第21回日本生殖内分泌学会学術集会
Place of Presentation
大阪 千里ライフサイエンスセンター
Year and Date
2017-01-14
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[Presentation] 核内受容体Ad4BP/SF-1によるステロイドホルモン産生の全制御2016
Author(s)
馬場崇, 大竹博之, 井上実紀, 佐藤哲也, 石原康宏, 宮林香奈子, 嶋雄一, 山崎岳, 須山幹太, Choi Man-Ho, 大川恭行, 諸橋憲一郎
Organizer
第39回日本分子生物学会年会
Place of Presentation
横浜 パシフィコ横浜
Year and Date
2016-12-01
Invited
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[Presentation] 栄養・代謝と性2016
Author(s)
馬場崇、井上実紀、諸橋憲一郎
Organizer
第89回日本内分泌学会学術総会
Place of Presentation
京都 京都国際会議場
Year and Date
2016-04-21
Invited
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