2017 Fiscal Year Research-status Report
筋萎縮、筋繊維化、脂肪化病態を制御するTGF-βファミリーの解析
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16K08599
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
土田 邦博 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 教授 (30281091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
常陸 圭介 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助教 (10508469)
中谷 直史 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助教 (00421264)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 加齢性筋萎縮 / 悪液質 / 非翻訳核酸 / 脂肪化 / 異所性骨化 / 薬剤探索 / TGF-β / BMP |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢、悪液質、筋損傷、遺伝性筋疾患で生じる筋萎縮とそれに伴う脂肪化、繊維化病態の分子機構とその制御による治療法開発を目指した研究を遂行した。筋発生時・神経損傷時には、筋分化制御転写因子が絶妙なタイミングで巧妙に発現誘導される。マイオジェニンのプロモーター領域から発現する新規非翻訳RNA核酸を発見した。新規非翻訳RNA核酸が胎児筋発生時や筋分化時にマイオジェニンと共に発現誘導され、発現変化にTGF-βファミリーシグナルが関与すことを示した。RNA沈降法と質量分析解析を駆使し、会合分子を発見した。新規非翻訳RNA核酸を会したマイオジェニンの発現機構を解析し、マイオジェニンの転写発現に重要であること、transに作用し、miRNAの発現制御に関与することを示した。マウスの前頸骨筋に遺伝子導入する至適な条件系をブラッシュアップし、筋への損傷が極めて少ない条件で導入可能になった。坐骨神経切断時にマイオジェニンが誘導され筋萎縮に至るが、上記手法を駆使して、新規非翻訳RNAのノックダウン核酸を導入すると、萎縮経路が抑制されることを見出した。 高純度で、ヒト骨格筋から筋衛星細胞や脂肪細胞・骨芽細胞などの基になる間葉系前駆細胞を単離し培養する系を独自に開発した。ハイスループットな薬剤のスクリーニングが可能な系を構築している。実際に、脂肪細胞分化を抑制する候補薬を見出した。生体内でも筋内脂肪化を抑制することを示し英文論文発表を行った。外傷性脳損傷で骨格筋内に異所性骨化が生じる。遺伝性のFOPと呼ばれる難病でも筋内異所性骨化は主要な病態である。上記の薬剤スクリーニング系を駆使して、間葉系前駆細胞の骨芽細胞分化抑制薬候補の同定にも成功した。候補薬は骨形成因子 (BMP)シグナルの抑制に関与するという予備的結果を得ている。生体内投与でも、筋肉・靭帯への異所性骨化を抑制することを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
非翻訳RNA核酸の解析は極めて独自性が高い。脂肪化抑制薬候補に加えて、骨化抑制薬候補も同定できたので、計画以上の進展だと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに見出した、長鎖非翻訳RNA核酸の解析はデータが蓄積し投稿中である、TGF-βファミリーであるTGF-βやミオスタチンを中心とした筋萎縮シグナルの検出系も開発しているので、筋肥大・筋萎縮制御機構や染色及びそれを指標とした薬剤のスクリーニングにも取り組んでいきたい。また、近年社会問題となっている、サルコペニア(加齢性筋肉減少症)の新たな発症機構や治療標的を探索する研究に積極的に取り組む予定である。予備的には、筋に存在する間葉系前駆細胞が加齢により数が減少すること、分子の変動が見られることなどをすでに見出している状況であり、研究を大きく進展させていく予定である。
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Causes of Carryover |
B-Aとして8672円が、算出されました。翌年度分として請求した助成金と合わせて、使用します。
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Research Products
(14 results)