2016 Fiscal Year Research-status Report
腎メサンギウム細胞からのChREBP複合体の同定による糖尿病性腎症創薬標的の探索
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16K08606
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横山 敦 東北大学, 医学系研究科, 助教 (20572332)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 代謝異常学 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界における糖尿病人口は増加の一途をたどっており、本邦での患者数は1000万人を超える。糖尿病患者と一般の平均死亡年齢を比較すると、糖尿病患者で約10年も生存期間が短いことが知られており、これは様々な合併症による死亡率の上昇が関係するものと考えられている。 糖尿病の合併症としては血管障害、神経障害、網膜症、腎症などが知られているが、中でも腎症は糖尿病の末期に発症し糖尿病歴約20年で尿蛋白を呈し人工透析療法に至る。これまでの糖尿病性腎症治療薬としては、腎糸球体の血圧コントロールが有効なことからアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬等のレニン―アンジオテンシン系を標的としたものが主に処方されていたが、治療への貢献度、治療満足度ともに非常に低いのが現状である。 糖尿病性腎症は発症メカニズムの詳細が不明であったためこれを直接標的にした薬剤はこれまで存在していない。しかし最近、腎メサンギウム細胞のグルコース応答性転写因子ChREBP(carbohydrate responsive element-binding protein)が糖尿病性腎症発症に深く関連していることが示唆されてきているがその転写機能の制御については不明な点が多い。 そこで本研究課題では、腎メサンギウム細胞においてChREBPの転写制御に関与している転写共役因子複合体を我々がこれまで発展させてきた生化学的手法にて同定することで糖尿病性腎症の新たな創薬標的分子を提案することができると考えている。 平成28年度における研究においては、主にこの腎メサンギウム細胞を用いた転写共役因子同定系の条件検討を行った。またその他の腎細胞についても同時並行的に実験を行っている。 その結果、転写共役因子を精製するための抗体の選定、DNAの超音波破砕における破砕条件について最適な条件を見つけることができた。今後はこの条件を用いて、実際にChREBPの転写共役因子の同定へと研究を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り腎細胞からChREBPの転写共役因子を同定するための実験条件の検討を行い予定していたそれぞれの項目、(1)最適な抗体の選定(2)DNAの超音波破砕の条件検討(3)SILACの条件検討、についての最適条件を同定することに成功している。これらの条件を用いてChREBPの転写共役因子の同定へと研究を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策としては、当初の予定通り前年度に決定した実験条件に従ってChREBPの転写共役因子の同定へと進めていく。そして、同定された候補因子群についてはそれぞれの遺伝子をクローニングし、レポーターアッセイおよび免疫沈降アッセイによりChREBPの転写共役因子としての機能評価を行っていく。この評価を行うことでどの因子が創薬標的候補となりうるかの判断ができるようになると期待される。
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Research Products
(3 results)