2017 Fiscal Year Research-status Report
腎メサンギウム細胞からのChREBP複合体の同定による糖尿病性腎症創薬標的の探索
Project/Area Number |
16K08606
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横山 敦 東北大学, 医学系研究科, 助教 (20572332)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ChREBP / RIME / 糖尿病 / 腎症 / 糖尿病性腎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病性腎症は発症メカニズムの詳細が不明であったためこれを直接標的にした薬剤はこれまで存在していない。しかし最近、腎メサンギウム細胞のグルコース応答性転写因子ChREBP(carbohydrate responsive element-binding protein)が糖尿病性腎症発症に深く関連していることが示唆されてきている(Isoe et al., Kidney Int, 2010, 78, 48-59)。そのことから、本研究課題ではChREBPの転写活性を制御する因子群を同定することで、糖尿病性腎症の創薬標的を提案することを目的としている。 本年度の内容としては、平成28年度における研究において決定した実験条件に基づき、腎メサンギウム細胞からのChREBP転写共役因子の同定を行った。組織特異性を確認するために、肝臓、膵臓由来の細胞も同時並行的に用いている。 その結果、腎メサンギウム細胞由来のChREBP結合因子として計139種類のタンパク質の同定に成功した。これらの中には、これまでChREBPとの結合が知られているMlxやHNF4a等も含まれていることから本実験の結果は信頼できると考えている。これらの同定された因子群の中から特に転写に関連すると考えられる因子を過去の文献やドメインのデータベースより抽出してクローニングを行った。 さらにクローニングした因子群の中からChREBPの転写活性に影響を与える因子をルシフェラーゼレポーターアッセイによって絞り込みを行ったところ、ChREBPの転写活性を抑制する新規因子を数種類取得することができた。これらの因子についてはさらなる詳細な分子解析を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では糖尿病性腎症の新たな創薬標的分子を明らかにするために、まずは腎メサンギウム細胞からのChREBP複合体の精製・同定を行う。複合体の精製には腎メサンギウム細胞から内在性の転写因子複合体を同定することができるRIME法を用い、質量分析計による解析からChREBP複合体を同定する。 本年度は平成28年度における研究において決定した実験条件に基づき、腎メサンギウム細胞からのChREBP転写共役因子の同定を行った。組織特異性を確認するために、肝臓、膵臓由来の細胞も同時並行的に用いている。 その結果、腎メサンギウム細胞由来のChREBP結合因子として計139種類のタンパク質の同定に成功した。これらの中には、これまでChREBPとの結合が知られているMlxやHNF4a等も含まれていることから本実験の結果は信頼できると考えている。これらの同定された因子群の中から特に転写に関連すると考えられる因子を過去の文献やドメインのデータベースより抽出してクローニングを行った。 さらにクローニングした因子群の中からChREBPの転写活性に影響を与える因子をルシフェラーゼレポーターアッセイによって絞り込みを行ったところ、ChREBPの転写活性を抑制する新規因子を数種類取得することができた。これらの因子についてはさらなる詳細な分子解析を行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策としては、当初の予定通り前年度に絞り込まれた因子群の機能解析を継続していく。具体的には、免疫沈降アッセによりChREBPと候補因子群との結合の評価を行う。また、クロマチン免疫沈降アッセイにより、実際にこれら因子がChREBPの標的遺伝子プロモーター上で共局在していることを確認する。さらにノックダウンアッセイにより内在性の候補因子がChREBPの転写活性に与える影響を評価する。評価に用いる標的遺伝子としてはTXNIPI、FAS、ACC遺伝子を用いることを予定している。これらの評価を行うことでどの因子が創薬標的候補となりうるのかの判断ができるようになると期待される。
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Research Products
(8 results)