2016 Fiscal Year Research-status Report
運動効果におけるリポ蛋白リパーゼの作用:ノックアウトウサギを用いた研究
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16K08607
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
西島 和俊 秋田大学, バイオサイエンス教育・研究サポートセンター, 准教授 (70435874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 裕一郎 佐賀大学, 医学部, 講師 (50530185)
新見 学 山梨大学, 総合研究部, 助教 (80644898)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | ノックアウトウサギ / CRISPR/Cas9 / 脂質代謝 / 運動効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
ウサギのリポ蛋白リパーゼを目的遺伝子として、ゲノム編集技術(CRISPR/Cas9システム)を用いたノックアウトウサギ作製実験を行った。一般公開されているガイドRNA設計ソフトウェアを用いて、ウサギリポ蛋白リパーゼ遺伝子配列中にプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列を含む配列を検索した。ターゲットとなりうる遺伝子配列の内、ウサギのゲノム内に他に類似した配列が存在せず、オフターゲット効果が起こりにくいと考えられる配列を選択し、ガイドRNAを合成した。 ウサギの一細胞期胚の細胞質内にガイドRNA及びCas9ヌクレアーゼRNAをインジェクションし、レシピエントウサギの一方の卵管内に移植した。妊馬血清性性腺刺激ホルモンをドナーウサギに投与することにより過排卵を誘起し、7匹のドナーウサギから342個の卵(平均48.9個)を採取した。マイクロマニュピーレーターを用いてガイドRNAとCas9ヌクレアーゼRNAをインジェクションした受精卵107個を4匹のレシピエントウサギに移植(平均26.8個)したところ、2匹が妊娠し、7匹の産子を得た。しかし、これら全ての新生個体は、生後2週間頃までに食欲低下・元気消失を示して死亡した。血液を採取して血清を分離したところ乳白色を呈していた。これは中性脂肪を加水分解するリポ蛋白リパーゼが欠損したことにより、食餌由来のカイロミクロンや肝臓で合成された超低密度リポ蛋白(VLDL)に含まれる中性脂肪が分解されず、血液中に多量に含まれるためである可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究課題は10月終盤に追加採択されたため、準備等の時間が必要で、実験を実施するための時間が十分でなかった。 得られた産子が育たなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も一細胞期胚へのCRISPR/Cas9のインジェクション、胚移植を継続して行う。 リポ蛋白リパーゼホモノックアウトウサギは生存出来ない可能性があるため、ヘテロ個体の作製を目指す。CRISPR/Cas9によるゲノム編集では高率にホモノックアウト個体が作出されるが、一定の確率でヘテロ個体も出現することが知られている。そこで、出来るだけ多くの産子を得るために、インジェクションおよび胚移植を繰り返すとともに、ヘテロ個体の出現確立を上昇させるために、インジェクションするガイドRNA及びCas9ヌクレアーゼRNAの量を減らす等の方策を検討する。
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Causes of Carryover |
本研究課題は10月終盤に追加採択されたため、予定していた実験を実施することが出来ず、そのための経費を執行できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は前年度の研究推進計画に即し、前年度使用できなかった経費を用いてノックアウトウサギの作製を進める。モデルウサギが作出でき次第、次年度分の経費を用いて解析を進める。
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