2018 Fiscal Year Research-status Report
運動効果におけるリポ蛋白リパーゼの作用:ノックアウトウサギを用いた研究
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16K08607
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
西島 和俊 秋田大学, バイオサイエンス教育・研究サポートセンター, 准教授 (70435874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 裕一郎 佐賀大学, 医学部, 講師 (50530185)
新見 学 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (80644898)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2020-03-31
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Keywords | ノックアウトウサギ / 脂質代謝異常 / 運動効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに得られた高トリグリセリド血症を示すファウンダーウサギは雌であったため、野生型オス日本白色種ウサギとの交配を行い、F1世代の獲得を目指した。4度交配したところ2度妊娠し、出産に至った。1度の妊娠においては、7匹のうち4匹は生存して誕生したが、母親ウサギが育児放棄し、全て死亡した。他方の妊娠においては、3匹の生存仔を得て、仮親ウサギに付けたところ、離乳し、成体となった。これらのウサギの空腹時血中トリグリセリド値を計測したところ40㎎/dL程度と母親ウサギで確認された高トリグリセリド血症の表現型は確認されなかった。F1個体に遺伝情報が引き継がれないのはファウンダーウサギがヘテロ接合体であるかモザイク体である可能性が考えられた。モザイク体である場合はF1世代に目的の遺伝子型(リポ蛋白リパーゼヘテロノックアウト)個体を得られる確率は低いため、新たなファウンダーウサギの作出を目指すこととした。 ウサギリポ蛋白リパーゼに対するガイドRNAとCas9ヌクレアーゼRNAを マイクロインジェクションした176個の受精卵を仮親雌の卵管内に胚移植したところ7匹の産仔を得たが(約4%)、うち4匹は死産で、残りの3匹も生後3日までにレシピエント親により食殺された。また、エレクトロポレーションによりガイドRNAおよびCas9ヌクレアーゼを受精卵に導入する方法も試みた。エレクトロポレーション法では過半数の受精卵が死滅し、生存胚を仮親に移植して、2匹の生存仔を得たが、いずれもリポ蛋白リパーゼ欠損の表現型を示さなかった。 引き続き、ファウンダーウサギの交配によるF1ウサギの作出、マイクロインジェクション法によるファウンダーウサギの作出実験を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
CRISPR/Cas9コンストラクト注入後の受精卵から得られる産仔の割合が極端に低く、リポ蛋白リパーゼのホモノックアウトは致死である可能性が考えられた。加えて、親ウサギが産仔の育児を放棄する事例があり、同時期に同飼育室において他系統のウサギにおいても同様の事例が多発したため、環境によるストレスが存在する可能性が考えられた。また、これまでに得たファウンダーウサギは雌かつ右前腕が脱臼してるため、特に出産・育仔が大きな負担となっていたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
ヘテロ接合体が作出されやすい条件とするために、ガイドRNAの標的配列を変更してCRISPR/Cas9によるゲノムの編集効率を変化させる。すでに得られているファウンダーウサギの交配を行う際には里親を用意する。
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Causes of Carryover |
リポ蛋白リパーゼノックアウトウサギの作製行程に遅れが生じ、予定していた特性解析にも遅れが生じた。次年度以降に、特性解析に必要な費用の使用が見込ま れ、また、特性解析に必要なリポ蛋白リパーゼノックアウトウサギ、対照となるヒトリポ蛋白リパーゼトランスジェニックウサギの飼育経費が必要となる。
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