2018 Fiscal Year Annual Research Report
Trial to treat gastric cancer via regulating the status of gastrointestinal differentiation
Project/Area Number |
16K08612
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山道 信毅 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (30463897)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 消化管分化 / 胃癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
胃癌細胞株にCDXによる腸分化誘導を起こすことによって、胃癌細胞が増殖停止を発見した。この形質転換の際に生じる網羅的な遺伝子発現変化のマイクロアレイの解析から、CDX発現と関連するプローブマーカーを選定した。CDX関連プローブ陽性胃癌の遺伝子発現様式は、CDX関連プローブ陰性胃癌に比べて、明らかに非癌粘膜に近いことを確認し、CDX発現による腸分化誘導が、胃癌においてがん抑制的に機能することを証明した。これらの研究成果をCancer Science誌に発表した(Cancer Sci 2018, 109: 3853)。また、胃癌細胞において発現抑制を来す新たな胃癌マーカー遺伝子としてNectin1を同定し、これを報告した(Pathol Int 2018, 68: 557)。この一連の研究の過程で、我々は消化管腫瘍の微少な生検検体(約10μg)から、極めて正確に網羅的な遺伝子発現解析を施行する手法の開発に成功した。先行研究として十二指腸上皮性腫瘍の解析をまずは行い、病態の解明が遅れている十二指腸上皮性腫瘍が大腸腺腫と違い遺伝子発現様式を持つ腫瘍であることを発見・報告した(J Gastroenterol 2018, 54: 131)。これを踏まえて、現在、胃癌において、1) CDX発現陽性胃癌とCDX発現陰性胃癌の比較、2) ピロリ菌陽性胃癌・ピロリ菌除菌後胃癌・ピロリ菌陰性胃癌の比較、3) 粘膜内胃癌と粘膜下層浸潤胃癌、といった観点からのデータ取得と解析を進めている。細胞モデルで成功した腸分化誘導におけるがん抑制と同時に変化する遺伝子群が、実際の臨床胃癌検体でもどのように再現されるかについて比較解析を進め、今後、腸分化誘導による胃癌増殖停止のメカニズムの解明と臨床応用を目指す予定である。
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