2017 Fiscal Year Research-status Report
トランス脂肪酸毒性によるC型肝炎関連肝癌増悪機構の解明と予防法の開発
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16K08616
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
青山 俊文 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (50231105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 直樹 信州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80419374)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | トランス脂肪酸 / C型肝炎ウイルスコア蛋白 / PPARalpha / デオキシコール酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
C型肝炎ウイルスコア蛋白を発現するトランスジェニックマウスは約30~35%の頻度で、生後18か月頃に小型肝癌の発生を呈することが知られている。当該マウスに0.2重量%のトランス脂肪酸含有食を摂取させると、肝癌発症が著しく促進され、摂取期間6ヵ月程度で全てのマウスに大型・複数の肝癌発生を呈する。従来の発癌分子機構の解析により、核内受容体PPARalphaの活性化が一因であることを報告した。トランス脂肪酸含有食摂取によるPPARalpha活性化の強化が発癌促進の重要因子と考え、正常部・癌部に分けて、各々のPPARalpha-DNA結合活性を測定したところ、癌部は正常部の約2倍の結合活性化が生じていることを確認できた。この活性化を、PPARalphaターゲット遺伝子の発現促進により、更に確認した。一例として、スフィンゴ脂質の一種であるsulfatide合成酵素(CST)の発現を調べると、約3倍に増加することが判明した。sulfatide含量は癌部において1.8倍に増加することが判明した。sulfatide代謝関連因子群も調べて論文にまとめた。 次いで、肝臓・糞便中の胆汁酸組成分析を試みている。予備実験結果では、リトコール酸やデオキシコール酸含量が明らかに増加しており、発癌促進が生じていることが示唆されつつある。糞便中の胆汁酸組成分析は結果の再現性に問題があり、解析法の再検討を行っている。 現在までの結果から、トランス脂肪酸摂取による発癌促進は少なくとも2種以上の発癌分子機構が関与すると推察される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
糞便中の胆汁酸組成分析は結果の再現性に問題があり、クロマトグラフィー上の雑ピークが定量化を妨げている。対応として、総胆汁酸抽出法の検討を行っているが、良い結果が得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には当初の計画を遂行できると考えている。加えて、線維化因子群が発癌促進に関与することが報告されているため、検査対象を増やす予定である。
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Causes of Carryover |
マウス飼育費が予定よりも低額であったため。 消耗品購入を増額して、計画通りに使用する予定です。
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