2017 Fiscal Year Research-status Report
オートファジー・リソソーム機能異常を標的とした大腸癌幹細胞標的治療薬の開発
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16K08621
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原口 直紹 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30528609)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | がん幹細胞 / 大腸癌 / ドラッグ・リポジショニング |
Outline of Annual Research Achievements |
癌幹細胞は、高い自己複製能と造腫瘍能を有するのみでなく、高い治療抵抗性を有することから、癌幹細胞を標的とすることが癌の根治につながると期待されている。幹細胞および癌幹細胞においてはグルタチオンパスウェイを介した活性酸素種(ROS)活性を低く保つ機構が亢進していることが知られており、抗癌剤や放射線治療で生じるROSの上昇による細胞傷害(抗腫瘍効果)から自己を防御している。われわれは、大腸癌細胞株において、低ROS発現細胞の特徴的マーカーとしてCD107aを同定した。CD107aはリソソーム構成主タンパクであることから、本研究では、大腸癌幹細胞における、オートリソソーム活性の評価、ならびに、その阻害による大腸癌幹細胞標的化療法の開発を目的に研究を行なった。single cell sphere formation assay、serial transplantation assay等を行なった結果、大腸癌における幹細胞性はリソソーム活性に強く依存することが示された。抗マラリア薬のリポジショニングを行うことで、大腸癌幹細胞分画が消失すること、さらに、抗マラリア薬の一つをヒト臨床大腸癌の担癌マウス(PDXモデルマウス)に投与すると、癌組織がほぼ完全に消失することを見出した。さらに、マイクロアレイ解析を行うことで、現在までに報告されていない、分子ならびにそのパスウェイを阻害している可能性が極めて高いことを見出した。今後、同パスウェイのさらなる解析、また、臨床試験導入に向けた申請を行なっていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の推進により、臨床試験に応用可能である薬剤を同定し、その薬剤の大腸癌へのリポジショニングによる新規大腸癌幹細胞標的化療法の臨床試験申請まで研究は進んでいる。また、その薬理作用を解析するにあたり、従来不明であった、薬理作用機序を見出すにいたった。今回同定した、薬理作用は、癌細胞の生物学的特性に極めて重要な新規パスウェイを阻害していることが明らかとなりつつあり、今後のがん治療のブレークスルーとなる期待が高い。
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Strategy for Future Research Activity |
今回新規に同定した、パスウェイの証明、生物学的意義の証明をおこなう。さらに、癌細胞と正常上皮細胞におけるパスウェイ依存性の違いを検討し、治療標的としての真の意義を明らかにしていく。加えて、リポジショニング薬剤に関しては、副作用評価までマウスモデルでの副作用評価まで進めることが可能であったため、臨床試験(切除不能進行再発大腸がんにたいする抗マラリア薬のリポジショニング試験)を進めていく。
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Causes of Carryover |
相見積等により経費削減を務めることが可能であった
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