2016 Fiscal Year Research-status Report
アミノペプチダーゼを介したベーチェット病発症機構の解明と治療基盤の構築
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16K08630
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
後藤 芳邦 帝京平成大学, 薬学部, 准教授 (90455345)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アミノペプチダーゼ / ベーチェット病 / 一酸化窒素 / 炎症 / エキソソーム / HLA分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
ベーチェット病は、外皮や神経、血管において慢性再発性の炎症を引き起こす疾患であり、自己免疫疾患の一つとして数えられる。発症機構に関しては明らかになっていないが細菌感染が発症のトリガーとなる可能性が示されている。また最近、ERAP1遺伝子の非同義置換型一塩基多型が発症のキーになることが示唆されている。そこで、本研究ではERAP1の細菌感染性炎症への寄与について明らかにした。具体的にはERAP1遺伝子欠損マウス腹腔に大腸菌由来リポ多糖(LPS)を投与し、12時間後の血中一酸化窒素(NO)濃度を測定した。その結果、ERAP1遺伝子欠損は血中NO濃度を40%程度低下させた。この結果はERAP1機能不全が炎症に影響を及ぼすことを示している。また、今回、LPS刺激に伴ってマクロファージから細胞外に分泌されたERAP1が分泌小胞エキソソームと相互作用し、本細胞に対してパラクリン/オートクリン作用によって活性化を誘導することを見出した。すなわち、ERAP1による炎症亢進にはERAP1結合性エキソソームが関与している可能性が考えられた。興味深いことに本エキソソームにはMHCクラスI分子がLPS未投与時に得られるエキソソームに比べて高い濃度で含有されていたことから、抗原提示への影響にも関与することが考えられた。また、ERAP1遺伝子のベーチェット病感受性HLA提示抗原への寄与を調べるために、CRISPR-CAS9システムを利用し、ERAP1遺伝子欠損RAW264.7細胞を作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回、ERAP1が炎症惹起に関与することを明らかにした。この炎症にはERAP1のほかERAP1と相互作用するエキソソームが関与しうる。本エキソソームにはMHCクラスI分子がLPS未投与時に比べて豊富に含まれていることも明らかになっている。ERAP1依存性炎症とHLAクラスI抗原提示との相関や炎症の持続性について明らかにする必要があるが、慢性炎症性疾患であるベーチェット病の病因解明の一助となりうる知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
光受容体間レチノイド結合蛋白を投与したブドウ膜炎発症マウスをベーチェット病モデルとし、ERAP1遺伝子欠損による炎症への影響を血中のNO濃度を指標に解析する。また、ERAP1遺伝子欠損RAW264.7細胞にベーチェット病感受性HLA分子およびERAP1を遺伝子を導入し、抗原提示に及ぼす影響をHLA提示量や抗原レパートリーを指標に解析する。
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