2018 Fiscal Year Annual Research Report
Roles of ER aminopeptidase 1 in inflammation of Behcet's disease
Project/Area Number |
16K08630
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
後藤 芳邦 帝京平成大学, 薬学部, 准教授 (90455345)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アミノペプチダーゼ / マクロファージ / 一酸化窒素 / 炎症 / LPS |
Outline of Annual Research Achievements |
今回、LPS投与したマウス血中のERAP1量、一酸化窒素(NO)量、肝臓のiNOS発現量の経時変化を測定した。その結果、ERAP1量は、LPS投与前にはほとんど認められなかったが、投与後12時間から24時間で分泌量が最大に達した。この分泌ERAP1は48時間後も十分量血中に存在した。NOも12時間後には最大を示したが、24時間後には通常レベルまで減弱した。興味深いことに、ERAP1遺伝子欠損マウスのNO量は、LPS投与12時間後では野生型マウスの半分程度を示したが、投与前および投与24時間後では野生型マウスと同程度を示した。肝臓iNOSの発現も血中NOと同様の挙動を示したが、ERAP1遺伝子欠損による影響は全く認められなかった。したがって、ERAP1はiNOS発現が亢進されている状況で、iNOSの発現には影響を及ぼさずにNO合成に寄与することが分かった。これは、先に報告したERAP1がNOの原料(遊離Arg)を産生するという結果と矛盾しない。すなわち、細胞外EARP1は、感染時特異的な炎症増悪へ寄与することが明らかになった。以上の結果を、論文として報告した。 最近、分泌ERAP1に関して海外のいくつかの研究グループが、NK細胞やT細胞、樹状細胞の活性化に関与することを報告した。また、興味深いことに、ERAP1遺伝子上のベーチェット病感受性SNPが、この免疫担当細胞の賦活化に影響を及ぼすことも報告された。ベーチェット病は、細菌感染を契機とした持続的な炎症が原因であるという仮説(分子擬態説)が唱えられている。これらの知見を考慮すると、感染とともに分泌されたERAP1は、マクロファージによるNO産生への寄与に加えて、他の免疫担当細胞を活性化することで炎症反応を惹起し、ベーチェット病などの炎症性自己免疫疾患の発症や増悪を誘導すると考えられる。
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Research Products
(7 results)