2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K08636
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
山越 貴水 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老化機構研究部, 室長 (50423398)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | がん / 糖鎖 / ムチン |
Outline of Annual Research Achievements |
上皮細胞の膜表面に発現している糖蛋白質のムチンは、がん化により、その糖鎖構造が大きく変化することが知られている。しかし、高密度に大量の糖鎖が結合し巨大分子を形成しているムチンの取り扱いの難しさから、ムチン糖鎖プロファイルの癌性変化についての研究は殆ど進んでいない。 近年、発癌や老化といった高次生命現象にエピジェネティックな遺伝子発現の制御が重要な役割を果たしていることが明らかになってきたことから、私達は、ポリコーム複合体の一つとして知られ、がん細胞において発現が著しく高く、がん抑制遺伝子のサイレンシングにも深く関わっているBMI-1に着目し、高分子糖蛋白質を分離できる新しい分離分析技術を利用して、BMI-1が標的とする糖転移酵素遺伝子を調べた。その結果、BMI-1はCore2β1,6-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(C2GNT2)遺伝子の発現を制御している可能性が示唆された。そこで、BMI-1がC2GNT2の発現を抑制しているかどうかを明らかにするため、様々な癌細胞を用いてBMI-1をノックダウンしたところ、BMI-1のノックダウンによりC2GNT2遺伝子の発現が上昇することが分かった。以上の結果から、腺組織においては通常、BMI-1はC2GNT2が過剰に発現しないように発現を抑制しており、がん化の過程ではBMI-1によるC2GNT2の発現抑制が解除されてC2GNT2の発現が上昇することでC2GNT2は癌抑制に働いている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り、研究が順調に進展しており、成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果に基づき、BMI-1とGCNT3の制御経路による癌抑制機構について詳細な解析を行う。様々な発癌ストレスを加え細胞老化を誘導したり、BMI-1の発現を抑制した際に、ムチン糖鎖構造が変化するかどうかを高分子糖蛋白質を分離分析できる技術と質量分析を用いて調べる。また、BMI-1をノックダウンしたり、C2GNT2を強制発現させることにより、癌細胞の増殖能、浸潤能や転移能などが阻害されるかどうかを検討する。更に、がん化の過程におけるC2GNT2遺伝子サイレンシング機構についても解析を行う。
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Causes of Carryover |
遺伝子改変マウスの搬入が遅延しており、それに掛かる経費が未使用分として生じた。また、綿密な研究計画による研究費の効率的な使用により、費用を節約することが出来た。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度の未使用額は遺伝子改変マウスの搬入に掛かる費用として使用し、次年度分と合わせ、研究費を適切に使用する。
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