2016 Fiscal Year Research-status Report
タイのピロリ菌の遺伝子解析-病原因子と人類遺伝学的解析-
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16K08652
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
内田 智久 大分大学, 医学部, 助教 (70381035)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヘリコバクター・ピロリ / 遺伝子解析 / 分子疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究の目的】Helicobacter pylori (ピロリ菌)感染による慢性炎症の持続が胃がん発症に重要な役割を果たしている。一方、タイでは胃がん発症率は本邦の1/10以下と非常に低く、その原因はピロリ菌感染による胃炎が非常に軽く、さらに胃粘膜萎縮、腸上皮化生が少ないことをタイ全土から採取した1,500検体を越える病理検体を用いた疫学研究で明らかにした。本研究では、生検組織と同時に採取し培養したピロリ菌の遺伝子解析により、”胃がんが少ない=胃炎が軽い”原因をピロリ菌病原遺伝子の面から明らかにすると共に、ピロリ菌のMulti Locus Sequence Typing (MLST)解析を始めとした分子疫学的解析手法により、タイ人の民族の成り立ちを明らかにする。 【当該年度の研究成果の概要】i)ピロリ菌病原因子の解析 生検組織から分離培養したピロリ菌からDNAを抽出し、vacA m1/m2, s1/s2, i1/i2,oipA on/off, dupA等の病原遺伝子の解析を行う。胃がん発症率の高い日本で分離されたピロリ菌の遺伝子タイプと比較することで病原性にかかわるピロリ菌の遺伝子タイプを同定した。 ii) Multi Locus Sequence Typing(MLST)解析 MLST法は、ハウスキーピング遺伝子の遺伝子(arc, aroE, glpF, gmk, pta, tpi, yqiL)のシークエンス解析を行ことで、細菌の遺伝子型決定する方法である。これまでの研究の蓄積により、ピロリ菌は大きくhpEurope, hpEastAsia, hpAsia2, hpAfrica1, hpAfrica2, hpNEAfrica, hpSahul1の7つのタイプに分けられることが明らかになっている。タイのピロリ菌のタイピングを行い、そのルーツを探索した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたとおり、i)ピロリ菌病原因子の解析、ii) Multi Locus Sequence Typing(MLST)解析を順調におこなうことができた。 i)ピロリ菌病原因子の解析では、ピロリ菌遺伝子であるvacA m1/m2, s1/s2, i1/i2,oipA on/off, dupA等の病原遺伝子解析をおこなった。 ii) Multi Locus Sequence Typing(MLST)解析では、胃がん発症率の高い日本で分離されたピロリ菌の遺伝子タイプと比較することで病原性にかかわるピロリ菌の遺伝子タイプを同定できた。 また、平成27年度中の研究成果を、欧州ヘリコバクター学会において「Histopathological Characteristics of H. pylori Infected Gastric Mucosa in Asia」のタイトルで発表し、日本ヘリコバクター学会、基礎研究推進セミナーで「アジアのピロリ菌感染の組織学的特徴」を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していたとおり、タイ全土ならびにメーソットのピロリ菌の遺伝子解析をおこなう。 具体的には、a) Multi Locus Sequence Typing(MLST)による人類遺伝学的解析により、タイピロリ菌のハウスキーピング遺伝子(arc, aroE, glpF, gmk, pta, tpi, yqiL)のシークエンス解析を行い、遺伝子型を決定する。これまでの研究の蓄積により、ピロリ菌は大きくhpEurope, hpEastAsia, hpAsia2, hpAfrica1, hpAfrica2, hpNEAfrica, hpSahul1の7つのタイプに分けられる(右図)ことが明らかになっている。タイピロリ菌のルーツを明らかにし、アジア各国の歴史、文化の研究に貢献する。 さらに、b)遺伝子情報と臨床情報が統合されたデータベースの構築によるハイリスクピロリ菌の同定をおこなう。具体的には、性、年齢、内視鏡診断、既知の病原遺伝子の亜系分類およびに新しい病原遺伝子からなるデータベースを構築する。感染に続発する疾患の発症要因を解明し、ピロリ菌のなかで感染により続発性に重篤な疾患を引き起こすハイリスクピロリ菌を同定して、将来それらを標的とした除菌治療の開発や胃癌発症予防法の開発につなげる。
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Causes of Carryover |
当初予定よりも消耗品購入が少なく、タイでの研究打ち合わせとフィールドワークが平成29年度になったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度、消耗品費、旅費と合算して使用予定である。
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Research Products
(4 results)