2017 Fiscal Year Research-status Report
高悪性度膵管癌におけるNectin3関連miRNAの同定と新規診断・治療への応用
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16K08659
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
平林 健一 東海大学, 医学部, 講師 (60514388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 義明 東海大学, 医学部, 准教授 (80381482) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 膵癌 / Nectin3 / miRNA / PanIN |
Outline of Annual Research Achievements |
応募者はこれまで、細胞間接着分子のひとつであるNectin3の発現が低下する膵癌は高悪性度であることを報告した。本研究ではこれまでの研究を発展させ、Nectin3の発現を制御するmicro RNA (miRNA)の発現と機能について検討することを計画した。平性29年度では、前年度のマイクロアレイ解析で同定したNectin3に関連すると推測されるmiRNAの組織切片中での発現を検討した。浸潤性膵管癌および前癌病変と考えられるpancreatic intraepithelial neoplasia (PanIN)の切除検体を対象として、Nectin3関連miRNAの発現をin situ hybridizationにより解析した。正常膵管にNectin3関連miRNAの発現は認められなかった。Nectin3関連miRNAは、low-grade PanINでは34%に陽性、high-grade PanINでは63%に陽性、浸潤性膵管癌では73%に陽性であった。統計学的解析では、浸潤性膵管癌とhigh-grade PanINはlow-grade PanINと比較し有意にNectin3関連miRNAが高発現していた。一方、high-grade PanINと浸潤性膵管癌ではNectin3関連miRNAの発現に有意差はみられなかった。臨床病理学的因子との関連では、Nectin3関連miRNA陽性症例は、UICC第8版のpT3因子, pN2因子, Stage IIA-IV、全生存期間の短縮に有意に関連していた。以上の結果からは、Nectin3関連miRNAの発現は浸潤性膵管癌の局所浸潤やリンパ節転移、生存期間の短縮に関連することが示唆された。また、Nectin3関連miRNAの発現は、low-grade PanIN、high-grade PanIN、浸潤性膵管癌となるにつれ陽性率が高くなった。この結果からは膵管癌の発癌や悪性化にNectin3関連miRNAが関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
組織切片中での検討が予想以上に時間がかかったため、体液でのmiRNAの発現検討が十分進められていない。平成30年度に遂行できるよう計画中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は同定したmiRNAを対象として膵癌細胞での遊走・浸潤・増殖能の検討や薬剤への影響を検討する予定である。また、体液中でのmiRNAの発現についても検討する予定である。
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