2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K08666
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐藤 康晴 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (00579831)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | IgG4-related disease / Oncogenesis / Lymphoma |
Outline of Annual Research Achievements |
IgG4関連疾患 (IgG4-RD)では、健常人と比べ発がんリスクが約3.5倍高いことが報告されており、我々も眼窩領域のIgG4-RDを背景にMALTリンパ腫が発症する可能性について報告してきた。IgG4-RDでは、IL-4、IL-10、TGFbなどが過剰発現しており、それらが発がんに関与しているのではないかと考えられる。Activation-induced cytidine deaminase (AID) はB細胞において抗体のクラススイッチを誘導する蛋白であり、近年ではc-myc等の癌原遺伝子に対してもAIDの変異原性が認められ、発がんへの関与も示唆されている。さらに、AIDはIL-4、IL-10、TGFbなどにより活性化することが知られており、AIDによる発がんの可能性を疑い、IgG4-RDとAID発現の関連について検討した。 研究方法:IgG4-RD(14例)、唾石症(13例)、正常顎下腺(14例)、のパラフィン包埋切片(FFPE)を対象とした。自動免疫染色装置 BondⅢを使用し、anti-AID免疫染色を行い、染色結果の評価を行った。さらに対象症例のFFPEよりRNAを抽出し、realtime-PCRによりAIDの定量的解析を行った。 研究結果:realtime-PCR解析の結果、唾石症群や正常群と比較して、IgG4-RD群では有意にAIDが高発現していることが明らかとなった。また、免疫染色によりIgG4-RDでは胚中心外においてもAIDが強発現していることが確認できた。これによって他の遺伝子のmutationが引き起こされ、発がんのリスクを高めている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今回の研究によりIgG4-RDにおいてAIDが過剰発現し、胚中心外においても過剰産生されていることが明らかとなった。先に述べたようにIgG4-RDでは、IL-4、IL-10、TGFbなどのサイトカインが過剰産生されており、これらサイトカインはB細胞のクラススイッチに関与することが知られている。これらのサイトカインによってAIDが胚中心外にも過剰発現し、これによって他の遺伝子のmutationが引き起こされ、発がんのリスクを高めている可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は他臓器IgG4関連疾患においてAIDの過剰発現が起こっているか否か確認し、さらに眼窩領域のIgG4陽性細胞の浸潤を伴うMALTリンパ腫、IgG4陽性細胞を伴わないMALTリンパ腫およびIgG4関連疾患においてAIDの発現解析を行う予定である。 これらの成果は、本研究期間内には然るべき学術英文誌に報告を行うことを考えている。
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Causes of Carryover |
当初予定していたよりもスムーズに研究が進行し、そのおかげで余計な試薬費等を節約することが出来たため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初は2年程度かかると見込まれていた研究内容であったが、約1年近く予定よりも成果を出すことが出来た。そのため次のステップで予定していた、この成果を応用した腫瘍性病変でのAID発がんの解析に使用する予定である。
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[Journal Article] Elevated serum interferon γ-induced protein 10 kDa is associated with TAFRO syndrome2017
Author(s)
Iwaki N, Gion Y, Kondo E, Kawano M, Masunari T, Moro H, Nikkuni K, Takai K, Hagihara M, Hashimoto Y, Yokota K, Okamoto M, Nakao S, Yoshino T, Sato Y
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 7
Pages: 42316
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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