2018 Fiscal Year Research-status Report
肺癌におけるHippo pathwayのエピゲノム制御への関わり
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16K08672
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
松原 大祐 自治医科大学, 医学部, 准教授 (80415554)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Non-TRU / Hippo pathway / YAP1 / TFF-1 / CADM1 / LATS2 / Neuroendocrine / Lung adenocarcinoma |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、肺腺癌ではEGFR,ALKなどのドライバー変異に対する分子標的薬剤が一定の効果をあげているが、その多くはTTF-1陽性のterminal respiratory unit(TRU)由来の腺癌(TRU-type)である。その後のゲノム解析の進展にも関わらずドライバー変異の不明な肺癌が未だ30%程あり、Non-TRU typeの治療標的は、EGFR,MET,HER2等のチロシンキナーゼとは異なる性質のものが伺える。 我々は、Non-TRU-typeの形態的特徴を示す肺腺癌の次世代シーケンサによる全エキソーム解析を行った (東京大学、間野教授との共同研究)。Non-TRU-typeの肺腺癌の中に、TTF-1遺伝子変異/メチル化によるTTF-1の失活とともに消化管上皮への異常な分化を示す症例が多く認められた(Matsubara et al, Cancer Sci, 2017)。確かにTTF-1陰性の"上皮型"株に消化管上皮への分化を示す細胞が多くみられ、こうした細胞は、興味深いことに、消化器上皮に特異的な、分化・再生の制御分子のノックダウンにより、細胞増殖抑制とアポトーシスが誘導された (Matsubara, AACR 2018)。 また、TCGAデータの解析から肺腺癌の中に神経内分泌分化を示す一群がみられ、申請者はNon-TRU typeの中に神経内分泌分化型の細胞株を見出し、Hippo pathway分子YAP1の欠失が神経内分泌分化に関わることを明らかにした(Ito, Matsubara et al, Cancer Sci, 2016)。 CADM1の腫瘍抑制効果において、CADM1とHippo pathwayのCore kinases (LATS1/2, MST1/2)との結合が重要であることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CADM1の腫瘍抑制効果において、CADM1とHippo pathwayのCore kinases (LATS1/2, MST1/2)との結合が重要であることを論文にまとめ、すでにCancer scienceに受理されている。
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Strategy for Future Research Activity |
YAP1は高分化な腺癌において陽性であり、低分化な腺癌では陰性となる。YAP1は肺腺癌の分化に関与している可能性があり、YAP1による分化制御について検討する。また、癌間質相互作用におけるHippo pathwayの役割を検討する。
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Causes of Carryover |
Hippo pathway分子と、クロマチンリモデリング因子との結合性の検討について、IP assayを用いて、今後検討していくため。具体的には、Expression vectors、pHEK293 Enhancer Vector (Takara Bio (Kusatsu, Japan)) 、normal rabbit IgG (R&D Systems)、 protein A‐sepharose (GE Healthcare (Chicago, USA))などの購入のため。また、遺伝子導入のために、 pENTR/D‐TOPO vector (Thermo Fisher Scientific (Waltham, USA))、lentiviral expression vector (Thermo Fisher Scientific (Waltham, USA))、 ViraPower Lentiviral Packaging Mix (Thermo Fisher Scientific (Waltham, USA)) 、 Polyethylenimine Max (Polysciences (Warrington, UK))などを購入するのに必要なため。
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Research Products
(11 results)