2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K08674
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
林 大久生 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70569128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 剛 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80439736)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 肺腺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺腺癌では、EGFR, KRAS, NRAS, HER2, BRAF, MAP2K1遺伝子変異の他、ALK, RET, ROS融合遺伝子が、発生・進展に直接的に重要な役割を果たすドライバー遺伝子として分子治療の標的に成り得ると報告されているが、全肺腺癌の中でドライバー遺伝子変異が占める割合は64%程度であり、未だ30%以上の肺腺癌においてドライバー遺伝子及び分子治療標的が不明である。本研究では、肺腺癌においてRASA1遺伝子変異の大部分がtruncating mutationであり、さらにEGFR, KRAS, HER2といったドライバー遺伝子変異と相互排他的な傾向を示していることから(TCGA, http://cancergenome.nih.gov)、RASA1遺伝子異常は肺癌の発生・進展に重要な役割を果たしている可能性があると考え、昨年度までに肺癌におけるRASA1遺伝子変異の機能解析を行い、以下の結果を得た。1) RASA1遺伝子ノックダウン細胞ではMEK, ERK, AKTのリン酸化が亢進する。2)RASA1タンパクは肺癌細胞株では通常発現しており、EPLC272H, RERFLCKJ といったRASA1遺伝子変異を有する肺癌細胞株のみで発現が低下している。3) RASA1遺伝子変異を有するヒト肺癌細胞株では、Trametinibに感受性を示した。本年土は、本邦におけるRASA1遺伝子変異頻度同定の為、順天堂大学附属順天堂医院で切除された肺腺癌996例に対してPCR clump法によるEGFR, KRAS変異検索, NanoString nCounterによる融合遺伝子検索及びこれら解析結果陰性非喫煙者121例に対してwhole exon及びRNA sequenceを施行したが、RASA1変異陽性症例は同定されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
TCGAのデータセットでは、RASA1の遺伝子変異は2.2%と報告されており、約1000例の解析で10~30症例程度RASA1遺伝子変異を有する症例を同定できると推定しているが、現時点でRASA1遺伝子変異陽性症例は同定されていない。
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Strategy for Future Research Activity |
KRASを除くドライバー遺伝子変異の多くが非喫煙者に同定されることから、非喫煙者に対して網羅的に遺伝子解析を施行したが、RASA1遺伝子変異陽性患者はみられなかった。その為、今後は喫煙者に対して遺伝子解析対象を拡大する。また、肺癌細胞株を用いた検討ではRASA1 truncating mutationを有する細胞はタンパク発現もみられない事から、Tissue microarray及びRASA1抗体を用いた免疫染色によるスクリーニングによりRASA1 truncating mutation陽性症例の抽出を施行する。尚、KRAS同様にRas/RAF/MAP2K1シグナルにおける遺伝子の頻度は本邦と欧米で差異がある可能性を考慮して研究を進める。
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