2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K08676
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
羽尾 裕之 日本大学, 医学部, 教授 (40393243)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 冠動脈硬化 / 血管内イメージング / 病理解剖 / 心臓突然死 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は剖検症例およびマイクロミニブタを用いた動脈硬化モデルを用いて、冠動脈プラークの血管内イメージングと病理像・質量顕微鏡で得られたデータを対比し、現在臨床で使われている血管内イメージングの可能性と限界を明白にする。さらに新たに開発された血管内イメージングデバイスの診断精度の検証を行うものである。 初年度である平成28年度は病理解剖および行政解剖症例の13症例の心臓から冠状動脈を採取し、これらの検体を用いて、Ex vivoで血管内イメージングを撮影し、画像の集積を行った。用いた画像診断としては光干渉断層法(optical coherence tomography: OCT)と血管内視鏡(coronary angioscopy: CAS)で、これらの機器およびカテーテルの整備を行った。 検討を行った冠動脈はステント治療後の症例も多く含まれていた。これらの症例から得られたデータをもとに、日本人における冠動脈治療後の血管の画像所見と病理組織像を明らかにしたい。また東京監察医務院と共同で、突然死症例の冠動脈の画像診断を行った。突然死の解剖症例では、一部で画像所見から急性冠症候群による心臓突然死が疑われた症例が含まれており、今後突然死のautopsy imagingとしての血管内イメージング技術の応用の可能性も示唆された。 また病死の症例の中にも、臨床的に心臓死と考えられていなかった症例で血管内イメージングにて血栓を思わせる画像が得られた症例も存在していた。 今後はこれらの検討症例について病理組織切片を作製するとともに、血管内イメージングで得られた画像所見と対比を行って、画像診断の精度管理や診断技術の向上に向けて情報発信を行う予定である。さらにブタを用いた動物実験の立ち上げを行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
近年の剖検数の減少から研究対象となった症例数が予定よりも少なく、撮影した画像情報の数が十分とは言えない状況であった。今後は広く近隣の施設に研究協力を求めて、解剖症例の蓄積を図る。心臓突然死については、東京都監察医務院、さらに東京都、近隣県の大学の法医学教室と連携し、十分数の症例の蓄積を図る。また、関連分野の学会や研究会を通じて、研究協力を依頼し、解剖症例のレジストレーションを行い科学的根拠の得られる症例数を集積する。ヒト剖検症例と合わせてマイクロミニブタによる動脈硬化モデル動物を用いて、画像の集積と病理組織切片の作製を行って、今後の研究を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
OCTでは内膜表層のマクロファージの浸潤は不均一な光の減衰が起こるとされているが、病理学的な検証には乏しい。冠動脈プラークの血管内腔表層のマクロファージはOCTやCASで診断精度の高い特徴的な所見を示すかどうかを明らかにする。また、CASで観察される黄色プラークはすべて脂質の蓄積を反映していると考えられている。本研究でCASによる冠動脈プラークの画像と病理を対比し、CASによる黄色プラークの病理像を明らかにする。冠動脈近赤外分光法(Near Infrared Spectroscopy: NIRS)が臨床応用されている。臨床の場で新たな血管内イメージングとして期待されているNIRSの診断精度について、病理学的に検討する。実験動物として扱いやすいマイクロミニブタに高脂肪餌を与えた動脈硬化モデルでは冠動脈にヒト動脈硬化病変に近い病変が形成されることが知られている。解剖症例の検討と平行して、モデル動物を用いた冠動脈血管内イメージングと病理組織像との対比を行う。
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Causes of Carryover |
次年度もOCT・CASの血管内イメ-ジングで画像を撮影し、得られた画像所見の検討を行う予定であり、機器リ-ス代および機器付属品代として使用額を残した為。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ヒト剖検症例と合わせて動脈硬化モデル動物を用いて、血管内イメ-ジングによる画像・症例数を集積し、解剖症例の検討および病理組織像との対比を行う。
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