2018 Fiscal Year Research-status Report
自己免疫性疾患患者に発生するリンパ増殖性疾患の病態解明と治療効果予測因子の同定
Project/Area Number |
16K08683
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
畑中 佳奈子 北海道大学, 大学病院, 特任講師 (10399834)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑中 豊 北海道大学, 大学病院, 特任准教授 (30589924)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 自己免疫性疾患関連リンパ増殖性疾患 / 腫瘍微小環境 / DNAメチル化 / 治療効果予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
自己免疫性疾患(autoimmune disease; AID)患者の治療では,様々な免疫抑制剤や生物学的製剤が使用されるが,それに伴いリンパ増殖性疾患(lymphoproliferative disorder; LPD)が発症することが知られている.このAID-LPDは比較的新しい概念であり,成因として, Epstein-Barrウイルス(EBV)への感染,関節リウマチなどAID治療薬による免疫低下などが指摘されているが,AID-LPDの病態解明や治療選択に関する研究は未だ十分に進んでいない.本研究では,AID-LPDのうち,とくに臨床的に問題となる悪性リンパ腫に着目し,本年度は以下の課題に取り組んだ. AID-DLBCLの網羅的発現プロファイル解析:AID-DLBCLの腫瘍微小環境に関するより詳細な解析を行うため,AID-DLBCL 8例(EBV陽性4例/陰性4例),non-AID-DLBCL 4例(EBV陽性1例/陰性3例)のFFPE組織検体を用いたがん免疫関連遺伝子発現のパイロット解析を行った.その結果AID-DLBCL とnon-AID-DLBCL症例間の比較において,CTSS(p=0.000),SPN(p=0.003)を含め4遺伝子において有意な発現変動が認められた. 一方サブグループ解析においては,EBV陰性のAID-DLBCLとnon-AID-DLBCL症例間の比較では,CCR5(p=0.001),TNFSF13B(p=0.007)の2遺伝子で,またAID-DLBCLのEBV陽性とEBV陰性症例間の比較において,SLAMF1(p=0.000),TREM1(p=0.002)を含め9遺伝子において,それぞれ有意な発現変動が認められた.なお本年度は約20症例を追加した30症例以上での本解析を予定していたが,症例集積に時間を要し,本年度内に目標症例数に達しなかった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究目的の達成のため,3年目にあたる平成30年度は,網羅的発現プロファイル解析を計画し,前年度完了できなかったAID-DLBCL/non-AID-DLBCL 12症例用いたがん免疫関連遺伝子発現のパイロット解析は完了できたものの,本年度予定した約20症例を追加した30症例以上での本解析は,症例集積に時間を要し,本年度内に目標症例数に達しなかったため,解析を完了させることができなかった. 今年度の研究の進捗については,こうした状況を鑑み,自己点検による評価の区分を(3)とした.
|
Strategy for Future Research Activity |
期間延長を行った4年目にあたる平成31年度においては,前年度未完了となった腫瘍微小環境に関する約30例でのがん免疫関連遺伝子発現解析および一部のマーカーの免疫組織化学的解析を完了させることを目指す.
|
Causes of Carryover |
上記解析の実施に遅延が発生し,これを次年度に行うこととしたため,翌年度に一部使用額が生じた.
|
Research Products
(5 results)