2017 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子コピー数プロファイルによる非浸潤性乳腺・大腸腫瘍の進展リスク予知
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16K08689
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
杉原 洋行 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (30171169)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アレイCGH解析 / 乳癌 / 大腸癌 / 階層的クラスタリング / 進展リスク |
Outline of Annual Research Achievements |
29年度は乳腺腫瘍については、データが確定したので、論文にまとめ、雑誌に投稿中である。 大腸については、29年度内に、左側大腸癌の外科的切除、ESD材料各20例のアレイCGH解析を終了した。各症例でミスマッチ修復酵素の発現を免疫染色で確認し、MSI陽性例を除外できた。マイクロアレイデータの解析の結果、腺腫(a)、癌の粘膜部(m)、浸潤部(i)、リンパ節転移部(ln)別にpenetrance plotで染色体レベルのコピー数変化を見ると、aでは(18q-、20p/q+が低頻度で見られた他は)ほとんど変化がなかった。mとiは増減のパタンが(iで8q+と15q-が多かった以外は)ほぼ同じであったが、lnでは欠失が乏しいのが特徴的であった。クラスタリングでは5クラスタに別れ、腺腫成分の無いクラスタ1と腺腫成分のあるクラスタ2-5が区別できた。このことから、大腸腫瘍の90%強がadenoma-carcinoma sequenceで、10%弱がde novoで発癌すると推定された。 クラスタ2は3-5と共通の変化と、3-5に見られない変化に分かれ、クラスタ2のパタンは、クラスタ3-5が進展した最終的なパタンであることが推定された。このことは、個々の腫瘍の異なるサンプル間で、染色体変化を比較することによって、裏付けられた。最終的なクラスタ2と転移サンプルの染色体パタンが異なることから、最終パタンになる前に転移することが推定され、特に欠失の少ないクラスタ3が、転移リスクが高く、早期から欠失の見られるクラスタ4、5は転移リスクが低いと予知できる可能性がある。 これまでは粘膜内病変のある腫瘍を優先して選択してきため、転移症例が3例しかなかったが、上記の転移リスク予知の仮説を検討するためには、転移症例をさらに増やしても転移サンプルには欠失が少ないのか、次年度に確認する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・大腸癌40例のアレイCGH解析およびミスマッチ修復酵素の発現解析が、予定よりも早く終了した。データ解析により、更に転移のある症例を追加する必要があることが分かった。 ・乳腺のデータが確定したので前年度に論文を作成し投稿したが、査読を進めてもらえず、withdrawalを繰り返し、現在4誌目に挑戦している。
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Strategy for Future Research Activity |
乳癌、大腸癌とも、基本となるデータの取得を終え、追加データの必要性が判明した分を残すのみとなった。当初の計画通り研究が推進できており、学会発表もコンスタントに行っている。後は、追加データを取りながら論文を作成し、受理に漕ぎ着けたい。
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Causes of Carryover |
(理由)マイクロアレイ解析の単価に満たない額が残った。それを他の経費に流用するのではなく、次年度の経費と合わせてマイクロアレイ解析に使用するため。
(使用計画)次年度の経費と合わせてマイクロアレイ解析に充当する。
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