2017 Fiscal Year Research-status Report
VEGF依存性腫瘍血管の同定と大腸癌ベバシズマブ療法の効果予測
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16K08690
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鴨志田 伸吾 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (70351020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新谷 路子 (田中路子) 神戸常盤大学, 保健科学部, 准教授 (40207147)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大腸癌 / ベバシズマブ / 効果予測 / 腫瘍新生血管 / チミジンキナーゼ / アポトーシス / 免疫組織化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍新生血管同定におけるthymidine kinase-1(TK1)/CD31二重免疫染色の有用性に関する論文を現在作成中である。 引き続いて、TK1とvascular endothelial growth factor receptor-2 (VEGFR2)の二重免疫染色法を確立し、腫瘍部と非腫瘍部におけるTK1/VEGFR2陽性血管の割合を比較検討した。非腫瘍部より腫瘍部の方が有意に高いという結果が得られたが(P=0.003)、TK1/VEGFR2陽性血管の数は腫瘍部においても非常に少なかった。したがって、以降はTK1/CD31二重免疫染色を用いて研究計画を進めていくことにした。 FOLFOX(またはXELOX)±ベバシズマブ療法後に切除された大腸癌肝転移巣を対象として、TK1陽性腫瘍血管の割合、中心的アポトーシス実行酵素cleaved caspase-3(CC3)とその切断産物cleaved cytokeratin 18(CCK18)の発現と患者予後(全生存期間)との関連を検討した。その結果、TK1陽性腫瘍血管の割合が1%未満を示した症例に死亡例はなかった。また、腫瘍細胞においてCC3高発現を示す群は、低発現群に比べて全生存期間が短い傾向がみられ、CCK18高発現群では低発現群に比べて全生存期間が有意に短縮していた(P=0.03)。以上の結果から、大腸癌肝転移巣を対象としてTK1陽性腫瘍血管の割合やアポトーシス関連蛋白の発現レベルを免疫組織化学的に検索することによって、転移性大腸癌患者の予後を予測できる可能性が示唆された。以上の成果は、第107回日本病理学会総会にて発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3年目(最終年度)の計画であった肝転移巣切除症例を対象とした解析を先に実施したため、本年度(2年目)に計画されていた「原発巣における腫瘍新生血管の密度と病理診断所見、臨床病理学的所見、薬物療法の腫瘍縮小効果、無再発生存期間および全生存期間との関連性解析」を実施できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
原発巣と肝転移巣における腫瘍血管の密度や性状は相関しないという報告がある(実際に観察するとその傾向が確認される)ため、2年目に計画されていた原発巣を対象とした腫瘍新生血管に関する研究が有益な結果につながるかを再考する必要がある。むしろ、肝転移巣を対象とした解析によって得られた結果に対して、症例数や検索マーカーを拡大し、多変量解析を加えることによって発展させた方が本研究の目的達成に近づける可能性があり、真剣に見極めながら進めたい。
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Causes of Carryover |
(理由)生じた次年度使用額では、本研究で使用する試薬を購入するには足りなかったため。 (使用計画)翌年度分として請求した助成金と合わせて、試薬購入にあてる。
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Research Products
(2 results)