2016 Fiscal Year Research-status Report
個別化医療への応用を目指したインターフェロンγの腫瘍細胞増殖抑制効果に関する研究
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16K08692
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
近藤 智子 (古屋智子) 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30379979)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | インターフェロンγ / 細胞増殖 / 乳癌 / イメージサイトメーター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では乳癌において特異的な治療法が確立されていないトリプルネガティブ乳癌(Triple negative breast cancer, TNBC)に有効な治療法開発をめざし、現在までの検討でTNBC由来の培養細胞に直接的な細胞増殖抑制効果を示したインターフェロンγについて、①細胞増殖抑制のメカニズムを明らかにすること、②乳癌以外の培養細胞にも同様の効果が期待できるかを確認すること、③インターフェロンによる細胞増殖抑制効果が期待できる細胞を判別するためのマーカーを明らかにすることを目的としている。 28年度は先行研究から引き続き、TNBC由来培養細胞(HCC38)についてインターフェロンγの細胞増殖に与える影響を、細胞増殖速度解析、細胞周期解析、細胞周期関連タンパクやインターフェロンγのかかわるシグナル伝達系タンパクの発現解析により検討した。 HCC38はTNBC由来の培養細胞であるが、インターフェロンγでの細胞増殖抑制が確認できなかった。HCC38のそのほかの特徴としては我々がインターフェロンγに注目するきっかけとなったTNBC臨床検体での特異的なゲノムの変化であった12q15のコピー数に変化がなく、インターフェロンγレセプターは免疫染色の検討だが高発現している。 先行研究も含めて今回はじめてTNBC由来の培養細胞に対しインターフェロンγの直接的細胞増殖抑制効果が認められなかったが、細胞増殖が抑制される細胞とそうでない細胞との間に12q15のコピー数や受容体の発現レベルには一定の法則がなく、検討していない生物学的特徴(そのほかのタンパク発現レベル等)を各細胞について測定、解析する必要があると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度の検討でTNBC由来の培養細胞でもインターフェロンγにその細胞増殖が抑制されない細胞が確認されたことより、先行研究も含めて実験結果を再検討するとともに、測定されていないシグナル伝達系分子の細胞内発現レベルを検討する必要が出てきた。そのため当初28年度中にめどを立てるつもりだった作用機序に関する検討が不十分であり、また、他の癌腫での検討も行えず進捗がやや遅れている状況となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
TNBC由来でありながらインターフェロンで細胞増殖が抑制されなかったHCC38とそのほかTNBC由来培養細胞との差(違い)を各種タンパク発現レベルを解析することで明らかにしつつ、インターフェロンγによる直接的細胞増殖抑制の作用機序を明らかにする。その後、乳癌以外の癌腫に対するインターフェロンγの直接的作用について乳癌と同様の手法で検討していく。
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Causes of Carryover |
乳癌由来の培養細胞の検討を終了させ、他の癌由来の培養細胞での検討を28年度中に行う予定であったが、乳癌由来の培養細胞で追加実験が必要となり、他の癌腫由来の培養細胞や培養細胞関係試薬の購入をしなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
乳癌での検討続けると同時に、28年度購入予定であった他の癌腫由来の培養細胞および関連試薬を速やかに購入し、実施計画の遅れを取り戻す予定。
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