2017 Fiscal Year Research-status Report
高い中心体数的異常を示すヒトがんの特徴とその要因・阻害剤感受性に関する研究
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16K08709
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
新村 和也 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (40321880)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 中心体過剰複製 / STIL / MUTYH / 染色体コピー数異常 / 8-bromoguanine |
Outline of Annual Research Achievements |
以下の2点について報告する。1. 中心体局在因子STILは、中心小体複製に関わる蛋白質として知られ、その過剰発現は中心体過剰複製につながることが報告されている。我々は、ヒト肺癌におけるSTIL発現を検討した。蛋白質レベルにおいて、非癌肺組織(n=105)に比べ肺腺癌(n=268)および肺扁平上皮癌(n=98)では、統計学的に有意 (P<0.0001) な発現上昇が認められた。STIL高発現はTNM病期の進展と有意な関連性を示した。癌ゲノムアトラスのデータ解析でもmRNA発現の上昇が肺腺癌および扁平上皮癌で確認され、ヒト肺癌におけるSTIL高発現が示唆された。さらに、染色体コピー数異常の程度に基づき肺腺癌および扁平上皮癌を2群に分けると、高異常群ではSTIL発現レベルが有意に高いことが示された。STIL高発現による中心体過剰複製を介した染色体数的異常誘導の可能性が示唆された。2. 酸化的損傷塩基の除去修復に関わるMUTYHは、OGG1とdouble knockoutさせると、その細胞は、酸化的ストレス誘導下で中心体過剰複製を起こしやすいことが知られている。我々は、臭素化DNA付加体8-bromoguanine (8BrG)のヒト細胞における変異原性および修復機構を検討し、変異形式としてはG->Tの頻度が最も高く、また、G->C、G->A, delGも見られること、修復に関してはMUTYHのA:8BrG修復活性、およびTDG/SMUG1のT:8BrG修復活性を明らかにした。MUTYHはMUTYH関連ポリポーシス(MAP)原因遺伝子であり、MAP大腸腫瘍ではG->T変異が起こりやすいので、MUTYH高発現ヒト細胞株を樹立し8BrG 導入部位でのG->T変異頻度を調べると、高発現株では対照株に比べその頻度が低下していた。MAP腫瘍への8BrG 修復異常の関与の可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究時間を予定どおり確保できており、概ね順調に進展しています。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、(1) 各種がんでの、高い中心体数的異常を示すがんの特徴の同定、(2)各種がんでの、高い中心体数的異常を示すがんの要因の同定、(3) 高い中心体数的異常を示すがんに対する治療法の検討、(4) 研究(1)(2)補完のための、各種がんでの中心体制御・DNA修復遺伝子異常の解析、の柱で研究を進めていく予定です。
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