2017 Fiscal Year Research-status Report
プロテアーゼとエピゲノムからアプローチするがん関連線維芽細胞の解析
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16K08719
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
下田 将之 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (70383734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 崇 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (40306717)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | がん / 線維芽細胞 / プロテアーゼ / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
がん組織は、がん細胞とそれを取り巻く間質成分から構成される。がん間質中の線維芽細胞はがん関連線維芽細胞(cancer-associated fibroblast: CAF)と呼ばれ、腫瘍形成・進展に大きく寄与することが知られている。本年度は、昨年本助成の支援を受け、作製および表現型解析を行ったHybid (HYaluronan-Binding protein Involved in hyaluronan Depolymerization)遺伝子欠損マウスを用いて新たにがん移植モデルを作製し、腫瘍形成における線維芽細胞由来プロテアーゼ関連分子の生体内機能解析を行った。これまでの解析から、HYBIDが間質線維芽細胞において高発現するとともに、がん移植モデルにおいて間質由来HYBIDが腫瘍形成能に影響を与える可能性が見出している。ハダカデバネズミにおいて高分子hyaluronic acid(HA)は発がん抑制に関与する一方で、低分子化したHAは種々のシグナルカスケードを惹起して血管新生や炎症を促進することが知られており、生体内におけるHA産生・分解は組織内微小環境を理解する上で非常に重要と考えられる。腫瘍間質の主要な構成成分であるCAFは様々な液性因子産生を介してがん進展を促進することが知られているが、線維芽細胞において発現するHYBIDは間質HA代謝などを介して腫瘍形成・進展に関与している可能性があり、現在さらに詳細な解析を行っている。一方、ヒト肺がん手術材料のがん部組織より単離・初代培養したCAFについては本年度網羅的なトランスクリプトーム解析を行い、現在臨床病理学的因子との関連について解析を進めるとともに、免疫不全マウスへの肺がん細胞株との混合移植モデルの作製・解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在表現型解析済みのHybid遺伝子欠損マウスを用いてがん移植モデルを作製し腫瘍形成における線維芽細胞由来プロテアーゼの生体内機能を解析するとともに、並行して単離済みのヒト肺がん由来CAFの網羅的な遺伝子解析を行い、混合移植モデルの作製・解析を進めている。おおむね研究は順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度中にヒト肺がん由来CAFと肺がん細胞株との免疫不全マウスへの混合移植モデルを完了し、これまでに取得済みの臨床病理学的因子やトランスクリプトーム解析結果と統合することにより、機能的がん関連線維芽細胞集団の同定を進めていく予定である。また、Hybid遺伝子欠損マウスなどを用いたがん移植モデルでは、これまでに取得したがん移植モデルの解析データをもとに、その詳細なメカニズムについて解析を行い、間質由来プロテアーゼの役割を明らかにする。
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Causes of Carryover |
ヒト肺がん由来CAFと肺がん細胞株との免疫不全マウスへの混合移植モデルの作製では多くの免疫不全マウスと人的労力を必要とするものの、本年度マウスケージのスペース不足や人的不足が重なり年度内の研究完了が困難となり、次年度に本実験の一部を繰り越す予定にしております。繰り越し予算については、本実験を完了するために必要な研究員を雇用するための人件費・謝金やマウス購入・維持費に使用する予定です。
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Research Products
(4 results)