2017 Fiscal Year Research-status Report
Wnt/Shh/低酸素経路の悪循環とクロストークを遮断しうる脳腫瘍治療標的の同定
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16K08722
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
中田 晋 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (80590695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 貢 近畿大学, 医学部, 准教授 (40609997)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | がん幹細胞 / Wnt経路 / Shh経路 / 低酸素応答シグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、トランスポゾン誘導型膠芽腫マウスモデルおよび臨床検体由来膠芽腫幹細胞を用いた網羅的発現解析から抽出した候補遺伝子群の中から発生学的に重要な候補遺伝子に対して解析を行った。初年度に、膠芽腫マウスモデル由来スフェロイド形成細胞における、低酸素応答シグナル、Wnt経路、Shh経路が活性化していることを示す知見が得られたため、これらの経路の相互に影響を与える因子の探索を引き続いて行った。Wnt経路に関連が深いがん幹細胞マーカーであるLgr5を抑制した場合に下流で抑制性の影響を受ける因子として、主にインターロイキンシグナル等を仲介するシグナル伝達系因子Stat5bを同定した。これは、ヒトおよびマウスで共通する結果であったため、普遍的な知見である可能性が高いと考えられる。この因子は、低酸素応答シグナルの重要な因子Hif2aの抑制により影響を受けることをみいだした。さらに、低酸素培養条件下で誘導がかかることをみいだした。これらはいずれも新規知見である。次に、この因子をノックダウンすると、膠芽腫マウスモデル由来スフェロイド形成細胞の増殖抑制とアポトーシス誘導が起こることをみいだした。これらの知見は、この因子が、低酸素応答シグナルおよびLgr5-Wnt経路から横断的な制御を受け、かつ膠芽腫幹細胞を攻撃するための新規治療標的としての可能性を示している。そこで、既知の化合物を用いてこの因子を抑制することを試み、すでに、増殖抑制効果とアポトーシス細胞死誘導効果をみいだしている。さらに、上記の現象は、in vivoのマウス膠芽腫モデルの組織での検討では、いずれも低酸素領域にみられた。一方、当初Lgr5との連関を想定したShh経路転写因子群は、低酸素領域よりはむしろ、腫瘍組織の辺縁部の細胞の核内に集積する知見を得ており、浸潤能に関与する仮説を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トランスポゾン誘導型膠芽腫マウスモデルの組織から樹立したスフェロイド細胞において、bCateninおよびLGR5を含むWnt経路関連因子と低酸素応答シグナルの間に、影響を与える具体的な新規因子をみいだした。また、腫瘍中心部に活性化がみられるbCateninおよびLGR5を含むWnt経路関連因子と低酸素応答シグナルと、腫瘍組織辺縁部に活性化がみられるShh経路との関係は、膠芽腫の生物学的性質を示す知見として新規のものである。以上を鑑み、概ね順調な進捗状況と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に従い、トランスポゾン誘導型膠芽腫マウスモデルの組織から樹立したスフェロイド細胞における候補遺伝子群の発現解析、ノックダウンによる増殖抑制効果の評価、細胞死誘導の評価、細胞周期に対する評価等のこれまでの知見に基づき、網羅的解析およびin vivo解析により、治療標的分子としての妥当性の検証を始めており、当初申請書に記載した計画通りである。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた特別な理由はなく、研究計画に変更はない。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] A Novel Prodrug of a γ-Glutamylcyclotransferase Inhibitor Suppresses Cancer Cell Proliferation in vitro and Inhibits Tumor Growth in a Xenograft Mouse Model of Prostate Cancer.2018
Author(s)
Ii H, Yoshiya T, Nakata S, Taniguchi K, Hidaka K, Tsuda S, Mochizuki M, Nishiuchi Y, Tsuda Y, Ito K, Kageyama S, Yoshiki T.
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Journal Title
ChemMedChem.
Volume: 13
Pages: 155-163
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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