2018 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluating the pathogenesis of non-alcoholic steatohepatitis from the viewpoint of xenobiotic metabolism
Project/Area Number |
16K08734
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
田中 直樹 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (80419374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶌 岳郎 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (30581011)
青山 俊文 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (50231105)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | CD44 / マイクロアレイ解析 / 腸管・肝臓連関 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高コレステロール食によりアリルハイドロカーボン受容体ノックアウトマウス(AhR-KO)に生じる非アルコール性脂肪肝炎(NASH)発症機構の解明を目的とした。 平成29年度は、より短期の高コレステロール食投与でも、NASHの超初期像を再現可能であることを明らかにした。次にどの細胞のAhR欠損がNASHに関与しているかを明確にしたいと考え、米国国立衛生研究所でAhRを発現するアデノウイルスを作成して頂いた。アデノウイルス注射AhR-KO NASH群では、肝細胞のAhR回復に伴い炎症性サイトカインの発現低下傾向が認められたが、注射後1週間の時点でアデノウイルスによる免疫賦活が重複してしまい、確定的なデータが得られなかった。 平成30年度は、免疫系への影響の少ないアデノ随伴ウイルスを用いたAhR強制発現系、そして臓器特異的AhR-KOを準備しながら、AhR-KOでのNASH発生メカニズムを解析した。肝組織を用いたリピドミクス解析では、脂質のプロファイルが高コレステロール食投与のAhR-KOだけで異なっていたものの、肝細胞障害を起こすような毒性脂質は同定できなかった。マイクロアレイ解析では、高コレステロール食投与のAhR-KOで炎症やMAPKシグナルなどの経路、特にCD44を中心とした免疫系が異常に活性化していることが判明した。以上より、AhR-KOに生じるNASH発症機構として、高コレステロール食に対する肝脂肪沈着、体内環境変化に対する免疫系の過剰応答が一因と考えられた。 今後はマクロファージや肝細胞特異的AhR-KOで同様にNASHが生じるか、AhR-KOで賦活化されるCD44経路は肝臓に蓄積するコレステロール、あるいは腸内細菌や腸内代謝物に反応しているのか、免疫系や腸管・肝臓連関にも注目して研究を進めていきたい。
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