2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of chemo-immunotherapy based on the characterization of tumor-infiltrating myeloid-derived suppressor cells
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16K08752
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
青木 一教 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (60270675)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 骨髄由来抑制細胞 / シングルセル解析 / 肺がん / 間質線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.腫瘍内浸潤MDSCの特徴解析 我々は、昨年度、マウス肺がん3LL細胞の皮下腫瘍と担がんマウスの脾臓から、単球系骨髄由来抑制細胞(MDSC)(Ly6G-Ly6Chigh)と顆粒球系MDSC(Ly6GhighLy6Clow)を分離し、それぞれシングルセルレベルで網羅的な発現解析を行った。今年度さらに解析を進め、腫瘍内に浸潤したMDSCに特徴的な遺伝子として、顆粒球系MDSCではCD74を見出した。ついで、CD74+MDSC とCD74-MDSCを分離し、網羅的遺伝子発現解析(RNA-Seq解析)を行い、IDO, arginase, iNOS, PD-L1, TGF-bを含めた免疫抑制性分子の発現の全体像を解析し、CD74+MDSCの特徴を把握した。 2. CAFとMDSCの相互作用機序の解明 1) CAFの産生するサイトカインの特徴。まず、肺がん由来の11種類のがん間質線維芽細胞(CAF)と同じ患者の正常線維芽細胞(NF)におけるMDSCに関連したサイトカインとして、MDSCの増殖能を活性化するIL-6やHGF、遊走能を促進するCCL2やCXCL6のCAFにおける発現を解析した。NFとくらべてCAFで発現が高い細胞株は、HGFは3株、IL-6は5株、CCL2は3株、CxCL6は2株だった。これらのCAFはMDSCの増殖能・遊走能を促進し、がん免疫抑制環境の成立に重用な役割を果たしている可能性があることが示された。2) CxCL6を介した機序の検討。CxCL6が高いCAFは11株中2株であったが、その2株では大量にCxCL6を産生していたため、MDSCを共培養して、その遊走性に及ぼす影響について解析したところ明らかに遊走性を上昇させ、一定の割合でCAFが産生するCxCL6がMDSCのホーミングに関連している可能性があることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シングルセル解析技術を用いて、腫瘍内浸潤MDSCを特徴づける分子を同定することに成功した。さらに、がん関連間質線維芽細胞とMDSCの相互作用の解析を進めるなど研究は全般的に順調に進んでいる
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Strategy for Future Research Activity |
1.CAFと腫瘍内浸潤MDSCの相互作用機序の解明 腫瘍内に浸潤した顆粒球系MDSCは特徴的にCD74を発現していることを見出した。このCD74+MDSCが、CD74-MDSCと比較して強くT細胞の増殖を抑制すること、CD74+MDSC ではPD-L1やIDOなど免疫抑制性分子の発現が亢進していることを検討する。ついで、CD74+MDSC とCAFとの共培養により、そのホーミングや増殖に及ぼす作用を解析し、CD74+MDSCに及ぼす採用に基づいてCAFを分類し、発現解析の結果などをもとに特徴を明らかとする。多数の臨床検体を用いて、CD74-MDSCと比較することにより、CD74+MDSCが強い免疫抑制活性により腫瘍内免疫寛容環境の構築に重要な役割を果たしている”effector MDSC”であることを確認する。 2.腫瘍内浸潤MDSCを抑制する阻害剤のスクリーニング 国立がん研究センターが包括契約を結ぶ国内製薬企業と連携して40万の低分子化合物ライブラリーから、CD74+MDSCの阻害剤を探索する。PD-L1や免疫抑制活性を担うARGやNOS、およびCD74を標的に、それらの発現を抑制する化合物の探索を国内企業と連携して行う。ついで、動物モデルにおいて得られたMDSC阻害剤を用いて、MDSCの免疫抑制活性や腫瘍内浸潤を抑制することで、抗がん剤による腫瘍免疫誘導を増強できるか検討する。具体的には、3LL皮下腫瘍マウスモデルで、MDSC阻害剤単独、抗がん剤(5-FU)単独、MDSC阻害剤と抗がん剤併用療法の抗腫瘍効果を比較する。我々は、5-FUが腫瘍内のT細胞やNK細胞を活性化することを見出しているが、腫瘍内MDSCの減少による、これら免疫細胞の活性化・抑制性受容体発現や、細胞障害活性やサイトカイン発現の変化を検討する。
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Causes of Carryover |
(理由)本年度研究はほぼ予定通り進捗したが、腫瘍内浸潤MDSCをヒト臨床検体で免疫染色により検出する検討を行う必要がある。H30年度に、肺がん外科切除標本等を用いて検討する予定である。
(使用計画) 腫瘍内浸潤MDSCを検討するために免疫染色用のCD74抗体を購入する。
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Research Products
(9 results)