2017 Fiscal Year Research-status Report
代謝調節薬によるγδT細胞依存的抗マラリア免疫亢進の機構解析
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16K08762
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
都田 真奈 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (30398151)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マラリア / γδT細胞 / メトホルミン |
Outline of Annual Research Achievements |
メトホルミンによるマラリア原虫排除亢進機構としてγδT 細胞に着目し、γδT 細胞免疫促進による新たなマラリア治療法の確立を目指している。昨年度までに具体的に以下の点を明らかにしてきた。 ①GL3抗体を用いてγδT細胞除去したマウスにおいて慢性感染原虫plasmodium yoelii17XNL感染防御に対するメトホルミンの効果を検討したが、メトホルミン効果は減弱しなかった。この結果は、メトホルミンにより増加したγδT細胞は防御には関与しないという予想外の結果だったので、今年度、別の方法で検討する予定にしている(今後の研究の推進方策の欄に記載)。 ②活性化マーカーであるCD44、NKG2DやFcRの発現量がやや低い事から、メトホルミンがエフェクター分化を促進しているとは言い難かった。また抑制性受容体の発現は違いがなかった。これらの事から、メトホルミンは記憶細胞分化に促進的に働く可能性が考えられた。 ③γδT細胞が選択的増加していると当初考えていたが、αβTも抗原特異的T細胞が増加している傾向であった。従ってγδT選択的ではなかった。メトホルミン投与により、αβT細胞も、γδT細胞どちらにおいてもマイルドなS6のリン酸化程度上昇、解糖系の低下がみられたことから、エフェクターよりむしろ記憶細胞が増加する事が示唆された。さらに、マウスの血漿中のIL-15がメトホルミン投与マウスの方で低かった事から、メトホルミンが記憶αβT細胞と記憶γδT細胞によるIL-15シグナル亢進を介して増加促進に寄与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は予定通り実験を行なった。そのうち、一部に関しては予想外の結果となったため、その問題を解決するため、来年度に、追加の実験を計画した(今後の研究の推進方策の欄に記載)。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)γδT細胞が防御において必須な役割を果たすことが知られている潜在慢性感染原虫Plasmodium chabaudi感染に変更し、メトホルミンによる増加したγδT細胞の防御効果を検討する。 (2)メトホルミンはγδT細胞の記憶細胞分化に促進的に働く可能性が考えられたため、裏づける実験を行なう。具体的には、サイトカイン産生能、転写因子の発現比較、フローサイトメトリーやFlux analyzerを用いたミトコンドリア呼吸比較を行なう。 (3)γδT細胞が増加するメカニズムとしてIL-15の関与が示唆されたので、IL-15受容体の発現や、 IL-15シルナル伝達経路をin vitroで検討する。
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Causes of Carryover |
この金額(5735円)は、必要な試薬を買うには十分でなかったので、翌年度分と合わせて有効に使用するため。
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