2018 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanisms of metformin-enhanced gamma delta T cell response during plasmodium infection.
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16K08762
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
都田 真奈 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (30398151)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マラリア / メトホルミン / γδT細胞 / 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
メトホルミンによるマラリア原虫排除亢進機構としてγδT 細胞に着目し、γδT 細胞免疫促進による新たなマラリア治療法の確立を目指している。H30年度はγδT 細胞の増加メカニズムの検討を行なった。 【具体的研究内容】 ①メトホルミン投与マウスにおいてγδT 細胞の増加メカニズムを明らかにするため、メトホルミン投与によるγδT細胞の増殖およびアポトーシスへの影響をBrdUの取り込みとAnnexinV、7AAD染色を指標に比較した。その結果、メトホルミンは、γδT細胞のアポトーシスには影響を及ぼさないが、増殖を促進させることが明らかとなった。② 2NBDGの取り込みおよびMitotrackerの染色を指標にγδT細胞の解糖系とミトコンドリア呼吸をメトホルミン有無で比較した。その結果、マラリア感染によりγδT細胞の解糖系とミトコンドリア呼吸は亢進するが、メトホルミンによりこれらは変化しなかった。つまり、これらの結果から、メトホルミンは代謝に影響を与えず、別のメカニズムによって、その増殖反応を増強したと考えられた。別のメカニズムとしては、メトホルミンはS6リン酸化を増強させたため(H29年度結果)、メトホルミンはS6のリン酸化を維持することで増殖を促すことが考えられた。S6リン酸化が本当にγδT細胞の増殖促進と関連するのか、さらに、メトホルミンは直接γδT細胞に作用するのかは今後の研究課題である。 【意義、重要性】 マラリア感染症に対して免疫記憶ができにくく、現在までに有効なワクチンはない。さらに耐性菌の出現することによりせっかく開発した抗マラリア薬もすぐに使えなくなってしまう。このようなことから、マラリア原虫に対する免疫応答増強法の確立は、マラリア撲滅に向けた戦略の一つであると考えられる。本研究では、メトホルミンがγδT増殖を増強することを明らかにし、撲滅に一歩近づけたと考えている。
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