2018 Fiscal Year Research-status Report
アルテミシニン耐性化はマラリア原虫の適応度を下げるのか-全生活環での包括的解明
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16K08765
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
橘 真一郎 順天堂大学, 医学部, 助教 (90414630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 誠 順天堂大学, 医学部, 准教授 (50326849)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マラリア原虫 / 薬剤耐性 / 適応度 / 種内競争 |
Outline of Annual Research Achievements |
マラリア流行地において、耐性の拡散した薬剤の使用を中断することにより、マラリア原虫の薬剤感受性が回復する事例が報告されている。これは、薬剤耐性原虫よりも感受性原虫の方が適応度が高いため、薬剤の使用を中断して薬剤圧の無くなった環境下では感受性原虫の方がより多く増殖するためと解釈されている。しかし実証例が少なく不明な点が多い。本年度は、昨年度に作製した薬剤耐性原虫と非耐性原虫を使い、両原虫の適応度を下記のように検証した。 1.マウス感染下における適応度比較:感染マウスへの薬剤投与試験により、耐性原虫のみの生存を確認し、遺伝子改変マラリア原虫の作製の成功を確認した。薬剤投与を行わない(薬剤圧が無い)条件下において、マウス体内での薬剤耐性・感受性マラリア原虫の増殖率をそれぞれ調べたところ、統計的有意差は検出されなかった。このことから、薬剤耐性および感受性マラリア原虫のマウス体内における適応度は同等であることがわかった。 2. 蚊感染下における適応度比較:薬剤耐性・感受性マラリア原虫を1:1比に混合した感染マウス血液を蚊に吸血・感染させ、以降に蚊体内で形成されるマラリア原虫のオーシストおよびスポロゾイトの形成比率を比較することにより、両マラリア原虫の適応度を検証した。その結果、形成率に両者間で違いは見られず、蚊感染下においても両マラリア原虫の適応度が同等であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
作製した薬剤耐性原虫のマウス体内および蚊体内における適応度の検証結果が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
薬剤耐性原虫のマウスおよび蚊体内における適応度の検証数を増やし、結果の確証性を高める。
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Causes of Carryover |
(理由)結果の確証性を高めるために実験検体数を増やす必要が生じたことから、調達予定物品の一部および論文投稿を次年度に予定したため。 (使用計画)計画どおり、試薬類および関連消耗品の購入、および論文作成・学会発表などの成果報告に使用する予定である。
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[Journal Article] Lack of significant recovery of chloroquine sensitivity in Plasmodium falciparum parasites following discontinuance of chloroquine use in Papua New Guinea2018
Author(s)
Sekihara M, Tachibana S-I, Yamauchi M, Yatsushiro S, Tiwara S, Fukuda N, Ikeda M, Mori T, Hirai M, Hombhanje F, Mita T
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Journal Title
Malaria Journal
Volume: 17
Pages: 434
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] ウガンダ北部マラリア原虫集団におけるアルテミシニン耐性レベルの推移2019
Author(s)
池田美恵, 金子恵, 橘真一郎, 山内祐人, Betty Balikagala, 江本桜子, 福田直到, 牧喜子, 森稔幸, 平井誠, 橋本宗明, Osbert T. Katuro, Mary Auma, Denis A. Anywar, Nirianne M. Q. Palacpac, 片岡正俊, Emmanuel I. Odongo-Aginya, 木村英作, 堀井俊宏, 美田敏宏
Organizer
第88回日本寄生虫学会大会
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[Presentation] In-vivo artemisinin resistance may have emerged in Uganda2019
Author(s)
Betty Balikagala, 池田美恵, 橘真一郎, 山内祐人, 福田直到, 関原誠, 江本桜子, Osbert T. Katuro, Opio Walter・Mary Auma, Denis A. Anywar, 森稔幸, 平井誠, 片岡正俊, Nirianne M. Q. Palacpac, Emmanuel I. Odongo-Aginya, 木村英作, 堀井俊宏, 美田敏宏
Organizer
第88回日本寄生虫学会大会
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