2018 Fiscal Year Annual Research Report
Functional relationship between Helicobacter pylori CagA and Epstein-Barr virus in gastric carcinogenesis
Project/Area Number |
16K08773
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
紙谷 尚子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (40279352)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ピロリ菌 / CagA / 胃がん / Epstein-Barrウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
日本人の胃がんのほぼ全てはcagA遺伝子を保有するピロリ菌感染を背景として発症する。また、胃がんの約10%はcagA陽性ピロリ菌とEpstein-Barr (EB)ウイルスの共感染を背景として発症する。しかしながら、cagA陽性ピロリ菌とEBウイルスの共感染が胃がん発症に及ぼす影響は不明であった。 ピロリ菌の菌体内で産生されたCagAタンパク質は胃上皮細胞内に侵入後、チロシンリン酸化されることによって発がん活性を発揮する。本研究では、CagAをチロシン脱リン酸化する酵素としてSHP1を同定した。さらに、SHP1により脱リン酸化される結果、CagAの発がん活性が抑制されることを明らかにした。 EBウイルス陽性胃がんの特徴として、ゲノムDNAに高頻度かつ高度のメチル化が誘導されることが知られている。本研究では、EBウイルス感染胃上皮細胞においてSHP1遺伝子のプロモーターが高度にメチル化されることを見出した。メチル化に伴いmRNAならびにタンパク質レベルでもSHP1の発現が低下した。さらに、EBウイルス感染細胞では、ピロリ菌CagAのチロシンリン酸化依存的な発がん活性が増強することを示した。 最終年度には、本研究成果の臨床的妥当性を検討するため、胃がん患者から摘出したがん組織の解析を行った。その結果、EBウイルス陽性の胃がん組織では、SHP1遺伝子のプロモーターがメチル化されていることに加え、SHP1発現が低下していることを明らかにした。以上の結果から、EBウイルス感染がSHP1の発現抑制を介してピロリ菌CagAの発がん活性を増強することが示された。
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Research Products
(2 results)