2016 Fiscal Year Research-status Report
Beclin1複合体形成と細菌感染特異的オートファジーにおけるBcl-xLの役割
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16K08775
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
相川 知宏 京都大学, 医学研究科, 助教 (70725499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野澤 孝志 京都大学, 医学研究科, 助教 (10598858)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | オートファジー / Bcl-xL / Beclin 1 / UVRAG |
Outline of Annual Research Achievements |
オートファジーは、栄養飢餓時の細胞内オルガネラやタンパク質を分解することで栄養源の供給を行う生理的システムであるが、同時に、細胞内に侵入した菌の分解排除システムとしても機能している。栄養飢餓時のオートファジー誘導にはBeclin1、Vps34、Atg14といった分子が複合体を形成する必要があり、複合体の形成は細胞死制御因子のBcl-2/Bcl-xLによって制御されている。しかし、細菌感染時のオートファジー誘導におけるBcl-2およびBcl-xLの役割はほとんど分かっていない。このことから、本研究では、細菌感染特異的オートファジーの誘導・制御におけるBcl-xLの生理的な役割と重要性を明らかにすることを目的とした。 当該年度において、申請者らはBcl-xLがオートファゴソームとリソソームの融合を直接的に抑制することで、A群レンサ球菌感染時のオートファジーの誘導を制御していることを明らかにした。また、Bcl-xLは、結合パートナーとしてすでに知られているBeclin 1だけでなく、UVRAGとも相互作用し、少なくともこれら3分子の相互作用(複合体形成)によって、A群レンサ球菌の宿主上皮細胞への侵入を抑制していることを明らかにした。栄養飢餓時には上記の複合体にさらにAtg14が結合し、オートファジーの誘導に関わることが報告されていたが、Atg14はA群レンサ球菌の感染によって誘導されるオートファジーや、本菌の宿主細胞侵入の制御には関与していないことも明らかにした。また、栄養飢餓時のオートファジーの制御において強く関連性が示唆されていたBcl-2も、A群レンサ球菌感染時のオートファジー誘導の制御には関与していないことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年間の研究期間のうち、初年度において本研究に関連する論文を発表することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
Atg14はA群レンサ球菌の感染時のオートファジー誘導には関与していなかったが、予備試験の結果、Bcl-xLとミトコンドリア外膜上で結合し、栄養飢餓時のオートファジーを制御していることが示唆された。このため、今後はBcl-xL-Atg14の相互作用がどのように栄養飢餓時のオートファジーを制御しているのか、その制御機構を明らかにしていく予定である。 また、A群レンサ球菌感染時においては、Bcl-xLはBeclin 1-UVRAG複合体の複合体形成とその活性化に重要であり、複合体の形成と活性化によって本菌の細胞内侵入を制御していることを明らかにしたが、Bcl-xLと同様に、NLRX1というNod like receptorの1つが、Beclin 1-UVRAG複合体、さらには下流のVps34-ILK経路に関与することで本菌の細胞内侵入を制御しているという予備知見を得ることができた。このため、今後は感染時のNLRX1-Beclin 1-UVRAG-Vps34-ILKの相互作用、ならびにシグナルカスケードを詳細に解析していく予定としている。
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